内容説明
信者11億のカトリックの世界では、どうして「悪魔祓い」という摩訶不思議な儀式が、生き続けているのだろうか。解くカギは、「癒し」であり、「救い」であった!そして、その知恵は、現代日本の閉塞感打破につながっていく。「悪魔祓い」の、日本初の学術的入門書。
目次
第1章 悪魔祓いが今さらなぜ?―闇にひかれる人々
第2章 不可知なものへのまなざし―『エミリー・ローズ』のメッセージ
第3章 悪魔の存在証明―『エクソシスト』の衝撃
第4章 神の愛の勝利―『尼僧ヨアンナ』の真実
第5章 教会の公式見解―悪魔祓いと悪魔の正体
第6章 エクソシスト・イエス―聖書が語る悪魔祓い
第7章 二千年の伝統―『ローマ儀式書』への歩み
第8章 悪魔憑きの科学―精神病理学からのアプローチ
第9章 救いのありか―癒しを超えた可能性へ
著者等紹介
菊地章太[キクチノリタカ]
1959年横浜市生まれ。筑波大学大学院博士課程中退後、フランス・トゥールーズ神学大学高等研究院留学。現在、東洋大学ライフデザイン学部教授。比較宗教史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
8
「マホメットを皮肉った内容がイスラム教徒の反発を招いたと報道されたが…神や預言者といった聖なる存在を人の手で形象化することに対して、千年以上も守りつづけてきたタブーを踏みにじった点に、彼らはより大きな冒涜を感じたのではないか。一方、たとえどんな表現手段であるにせよ、それを表現することの自由については、ヨーロッパ人は一歩もゆずらないだろう。ヴォルテールが「おまえの考えは気にくわないが、おまえがそれを言うことの自由は、おれは命をかけて守りたい」と語ったように、これこそヨーロッパ人が…勝ち取ったものだから」2018/09/22
Ayanosuke
2
悪魔祓いについて知識がなかったので、興味深く読めました。筆者はクリスチャンではなく、悪魔の存在を肯定も否定もしていないの、が文章の説得力を増してると思いました。結局は『悪魔は自分の内にある』と言いたかったのかな。2013/03/22
Kazuhisa Hirao
2
なんとなく断片的に知っていることが整理できた気分なり。 逆説的なタイトルな割りに納得出来やすい内容である。2012/01/06
doradorapoteti
1
構成の問題?なんだか細切れな文章を寄せ集めたみたいな印象。受け入れることがいいたいことか?2008/08/28
そら
0
神も悪魔も本来なら人間が生み出したもの。神だけでなく、悪魔までもが存在するのは、自分の無責任さや弱さ、残虐性など自分の中の醜く、黒い感情を受け入れらない人間が悪魔の仕業とすることで納得したり、自己嫌悪しないで済んだのかもしれない。また、精神病と診断されれば世間の風当たりが厳しくなるかもしれない時代、悪魔の仕業にしておけば、家族は責任を問われることはなく、被害者としていられた。時に自分を救ってくれる存在以上に、自分を傷つけ、脅かす存在の方が都合よく扱われ、それによって救われた人が存在していたのかもしれない。2017/05/14