出版社内容情報
南北分断の悲劇、戦争と兵役、軍事独裁政権と民主化、朝鮮王朝絵巻、個性的なスターたち、日本アニメの影響……。大ブームを経て1ジャンルとして確立した韓国映画は魅力がいっぱい。食わず嫌いはもったいない! 日韓映画界を知り尽くす映画評論家で元「ミスター文科省」の著者が、2000年以降に公開の傑作から100本を選りすぐり、政治、社会、文化や業界裏事情も解説。何を観るか迷ったときに便利な1冊。
内容説明
『JSA』『ブラザーフッド』『四月の雪』『グエムル』…。当代きっての映画の目利きが日本人必見の100本をセレクト。読むだけで、映画の世界を堪能でき、南北分断、軍政、民主化の複雑な朝鮮半島史も頭に入る、圧倒的に面白くてためになる、韓国映画ガイド決定版。
目次
第1章 南北分断と民族離散
第2章 流血と希望
第3章 韓国社会の光と影
第4章 夜と闇を駆ける男たち
第5章 女と男
第6章 家族の絆
第7章 青春と学園
第8章 悠久の歴史と美
わたしの日韓映画交流記
特別対談 ポン・ジュノ×寺脇研
著者等紹介
寺脇研[テラワキケン]
映画評論家、京都造形芸術大学教授。1952年福岡県生まれ。東京大学法学部卒。文部省(現文部科学省)職業教育課長、広島県教育長、大臣官房審議官(生涯学習政策担当)、文化庁文化部長を歴任、2006年退官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
119
10年以上前の本だから、韓国映画を100作品観た後に開拓するには丁度良かった。歴史、文化、社会問題などワードにスポットに当てたコラムも浅く広くて親近感。20代で6割の女性が整形済み。キムギドク監督は「悪い男」のシナリオ通り、街中の見知らぬ女性にいきなりキスをしたことがある。同性愛のタブーを妖艶なイジュンギが「王の男」で緩めた。軍隊の月給は1万円以下。南楊州総合撮影所には「酔画仙」のセットが半永久保存。著者のベスト10にもあるようにポンジュノ監督作品は「パラサイト」より「殺人の追憶」が面白かった、笑った。2020/03/05
ごへいもち
15
200本しか見ていない韓国映画から100本をベストで選ぶとは、と思ったりもしたが短いコメントの中に著者の教養や歴史への理解や映画への愛情が感じられて好著。高校時代から映画評論を投稿するほどの映画好きで東大ってどうよw 官僚としてもきっと面白みのある人だったんだろうなぁ。それと韓国と日本って確かにそっくりな感性だと思う2011/05/24
inokori
5
ここに取り上げられてる作品の半分,いや4割くらい観ることができたかなぁ.改めて寸評の書き手だなぁと思う.特に,歴史的な背景の目配りができていて,なおかつ作品本体とのバランスを損なわずに短くまとめる技がすばらしい.こうむいんは一枚でペーパーを切れて(資料作成できて)なんぼ,だもんなぁ.お手本の一つにしたい.2009/04/02
inokori
5
「ゆとり教育」推進派官僚として最近批判対象になりがちな著者が,古くから映画や落語評論を手がけていたのは聞いていたが,実際にその批評を読むのは初めて.文化庁時代に仕事で観ていたものも多いのだろうが,コンパクトな記述ながら的確な視点で各作品を簡潔に紹介してくれている.著者的ベストテンがあたしの好きな作品と重なるところ多く,個人的には著者の眼を信頼できる.けっこう,未見の名作が多くあるのだなと認識.2008/12/23
二人娘の父
4
悲しいかな発刊2007年。時代的制約のあるガイドブックではある。韓国映画について、日本人映画評論家がどのような見方を「かつて」していたのかを参考にするための文献として。(追記)著者は文部官僚であり、かつ映画評論家、落語評論家でもあるらしい。なかなかユニークな経歴の方だった。2023/08/06