出版社内容情報
両親の離婚によって母親の実家近くに暮らしはじめた望子。そのマンションの部屋からは郊外を流れる大きな川が見える。父親との面会、新しくできた友達。望子の目に映る景色と彼女の成長を活写した「川のある街」をはじめ、人生の三つの〈時間〉を川の流れる三つの街を舞台に描いた著者の小説的達成。誰もが通過する人生の、ささやかで特別な瞬間とありのままにある世界を鮮やかに切り取った慈愛の物語。《解説・朝吹真理子》
【目次】
内容説明
両親の離婚によって母親の実家近くに暮らしはじめた望子。父親との面会、新しくできた友達。望子の目に映る景色と彼女の成長を活写した表題作をはじめ、川の流れる三つの街を舞台に、誰もが通過する人生の、ささやかで特別な瞬間を描く慈愛の物語。
著者等紹介
江國香織[エクニカオリ]
1964年東京都生まれ。87年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、89年「409ラドクリフ」でフェミナ賞、92年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
もえ
34
川のある街を描いた3つの短編集。最初の舞台は東京都北区赤羽。「ブラタモリ」で観たが赤羽は東京でありながら地方感が漂うせんべろの街。小学生の望子の耳元で大人の会話が川の如く流れていくのが面白い。2つ目の舞台は富山県射水市。カラスの目線と人間の目線が交互に描かれる。雑食のカラスが逞しい。カエルの好きな真凛ちゃんは、地元山口県のカエル少女藤原結菜ちゃんを彷彿とさせる。真凛ちゃんと仲良くなる麻美さんのキャラも最高。最後の舞台はアムステルダム。認知症の芙美子の意識が混濁し、小鳥の声や美しい川沿いの景色と混ざり合う。2026/07/12
エドワード
30
川のほとりの物語。【Ⅰ】小学生の望子の忙しい毎日。離婚した父と映画鑑賞。家族で焼肉。地図記号。大相撲。ジャミラ。この明るさ、「流しの下の骨」を思い出すよ。「学校にいる間中、望子は自分が小学校三年生の女の子のふりをしている気がする」いい子だよ。【Ⅱ】地方都市の住民の距離の近さ。地域の人、親戚、みんな仲間。人格がある鴉たちの生活の細密描写が真に迫る。【Ⅲ】オランダに住む伯母の芙美子を訪ねる澪。認知症が進む伯母に日本へ戻って欲しい。芙美子の物忘れの、内から外からの描写に戦慄する。今日は何曜日?いつか来る道だ。2026/06/20
あんこ
25
本当に久しぶりに江國さんの本を読みました。ああ、こんな穏やかさだったなと。川沿いの誰かの日常を俯瞰して見ているような三編。川の移ろいのように、みんないつかこの時思っていた些細なことは忘れてしまうのだろうけど、誰かが確かに存在していた記憶の狭間を覗いているようでした。Ⅲのアムステルダムの芙美子叔母の話が好き。アムステルダム、また行きたいなとふと思いました。2026/05/16
ハッピーえんど
20
川のある街を舞台にした中編3編。 どれも全く異なる雰囲気なのが江國さんらしいと思いました。 劇的な事件が起きる訳ではなく、淡々の日々の日常が描かれているだけなのに、読後に温かいモノを感じました。 特に「II」は印象的でした。まず、いきなりカラスの視点で物語が進んでいくことに斬新さを感じました。少しずつ繋がって行く構成も面白かったし、みんながハッピーな方向に向かっていく展開も素敵だと思いました。2026/07/03
nekomurice
7
川のある街Ⅲの芙美子叔母さんのお話が好きだった。Ⅱではなんとカラス視点のお話も。江國さん「じぶんはあらゆる関係にあえて名前をつける必要はないと思う。曖昧なことを曖昧なままに書きたいのだ」2026/06/15
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