出版社内容情報
クイズ番組の決勝で、僕の対戦相手は1文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たす。彼はなぜ正答できたのか? 推理作家協会賞受賞&本屋大賞6位、圧巻のエンターテインメント。文庫化に際し短編小説「僕のクイズ」を収録! 解説は田村正資氏。
内容説明
クイズ番組の決勝で三島の対戦相手は問題が一文字も読まれぬうちに回答し正解し優勝を果たす。不可解な「ゼロ文字正答」の謎を解明すべく調査する三島はやがて―。知的興奮に満ちた圧巻のエンターテインメント!短編小説「僕のクイズ」を収録する。
著者等紹介
小川哲[オガワサトシ]
1986年千葉県生まれ。作家。東京大学大学院博士課程退学。2015年『ユートロニカのこちら側』でハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビューする。17年刊行の『ゲームの王国』で日本SF大賞、山本周五郎賞受賞。22年刊行の『地図と拳』で山田風太郎賞、直木賞受賞。22年刊行の『君のクイズ』で日本推理作家協会賞[長編および連作短編集部門]受賞、本屋大賞6位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
288
本編『君のクイズ』に加えて、書き下ろし短篇『僕のクイズ』付き( ¨̮ )。クイズの間口は広くて、入り口や関わり方は色々ありますね。本書は競技クイズの最も尖った部分を題材にしているので、常人離れして見えるかもなのですが「ちなみに、クイズは知識の量を競っているわけじゃないよ」なのですよね。それ迄の生活を介して経験した全ての物事から自身が形成されていると。その中には失敗、挫折、思い出したく無い事まで含まれている筈ですが、それらを一緒くたに“クイズが僕の人生を肯定してくれる”なんですよ。味わい深い名言だなぁ。2025/04/27
よっち
36
生放送クイズ番組決勝戦に出場したクイズプレーヤー三島玲央。しかし対戦相手にまだ一文字も問題が読まれぬうちに回答され、優勝を逃す不可解な事態に直面するミステリ。一体なぜ本庄絆は問題も聞かずに次々と正解できたのか。真相を解明しようと彼について調べ始めて、決勝戦を1問ずつ振り返ってゆく三島。振り返った過去には三島と本庄のこれまでのクイズプレイヤーとしての積み重ねが垣間見えて、理解を深めて共感すら覚えたはずなのに、そこから辿り着いた先にそうしても埋められない溝を感じてしまう、何とも皮肉なその結末が効いていました。2025/04/29
Shun
33
小川哲さんの非SF作品。本作はミステリ小説と言えますが、クイズ小説と呼称するのが相応しい内容。この作品の為に作者は相当クイズについて、殊に早押しクイズという競技を調べて書かれたであろうことが分かる。私も含め早押しクイズについてほぼ何も知らなくとも、その魅力や最速で解答を導く為の問題の読み解き方が理解できます。神業のような早押しを可能としているのは回答者の頭の中の知識量だけではない。その思考はまさに人智を超えていると思わざるを得ない。前置きが長くなったが、本作は”ゼロ文字解答”の謎に迫るミステリ小説である。2025/05/13
ちゅんさん
33
“一文字も読まれていないクイズに正答できたのか?”の謎を解くクイズを題材としたミステリー小説。はじめ、そんなことが可能なのか?と思ったが読み終えると納得。読みやすくてなかなか面白かったがやっぱり『ゲームの王国』のような作品が好きだなぁ。2025/05/12
外枠発走
32
クイズ番組を舞台にしたミステリー。多くのクイズ番組を楽しんだ世代にとって、番組の裏側を扱った話でもあり、興味深く読ませてもらった。たしかに、番組によっては、ヤラせだろうと感じることはあった。物語の主題である「ゼロ文字押し」は、少々無理矢理感が強かった。最近、復刻を含め、少しずつクイズ番組が増えていて、ファンの一人として嬉しい限り。2025/05/05