出版社内容情報
「国家主義カースト制」によって超管理社会となった2075年の東京。政府から立ち退きを強制された斎藤家は、理不尽な転居命令に抵抗して日本国政府に宣戦布告する! 予言的なリアリスティック・ディストピア小説。《解説・ブレイディみかこ》
内容説明
「国家主義カースト制」によって超管理社会となった2075年の日本。政府から立ち退きを強制された超エリート「特A級市民」斎藤総一郎の一家は、理不尽な命令に抵抗し日本国政府に宣戦布告する!いま読みたい、予言的ディストピア小説の新装版。
著者等紹介
篠田節子[シノダセツコ]
1955年東京都生まれ。作家。東京学芸大学卒。東京都八王子市役所勤務を経て、90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『女たちのジハード』で直木賞、『ゴサインタン』で山本周五郎賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞し、20年紫綬褒章を受章した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikutan
70
『国家主義カースト制』になった超管理社会の日本を描いた予言的小説。1997年に出版された作品の新装版ですが、解説にある様に、2024年の今読むと、ぶっ飛びな設定ながら、その示唆された内容に思わずドキッとさせられる。超エリート「特A級市民」の斎藤総一郎。その義務は職務を全うすることと優秀な遺伝子を残すこと。その為、妻の美和子は六人目を妊娠中。職をコンピュータに追われ、更に政府から立ち退きを強制され、日本国政府に宣戦布告する。巨大化した末娘の小夜子がキーマンですね。ノンストップディストピア小説。面白かった。2024/12/27
きょん
42
超管理社会となった2075年の特A級市民の斎藤家。1997 年に出版された本作は新装版だが、篠田さんの描いた内容が近い将来この国で起こりそうな気がするのは私だけではないと思う。重要な役割を果たしてくれる小夜子の存在が効いている。2025/02/06
hrmt
17
1997年出版の新装版。2075年、全てにおいて超管理格差社会となった日本で、不必要とされ人権無視の扱いを受けた家族の国家権力への反撃。効率化が度をこすと社会はこんなシステムになるだろうか。ちょっと非現実的と思ってしまうのは、単に私がそう思いたいだけなのか…2025/04/29
shi-
17
国家カースト制度に、とてつもなく大きい赤ちゃんに、ぶっ飛んだ設定で予言的ディストピアって…。 こんなぶっ飛んだ設定が読んでるうちに、いやあるのかもしれない、あるのか?と、思わせてくれる。 悲惨な状況なのに、悲惨さを出さない登場人物たちの精神力も凄い。 ラストはちょっと胸が熱くなった。2024/11/23
NAOAMI
11
旧態依然とした家父長制体質の斎藤家。とは言え50年後の世界を描く近未来小説。国家主義カーストと呼ばれる超管理社会で「特A級」だったはずの総一郎一家の存亡!は如何に(笑)。何かしら確実に進歩を遂げ、その代償が近未来として描かれる。それでも斎藤家の人々を見ていると日本は一周して後退感がある。序盤、設定説明に戸惑い遅滞するも、異形の末っ子、小夜子の加速度的成長につれ物語もスピードアップ。国家の横暴に反旗を翻す斎藤家の「核弾頭」とは?空想未来ながら、実に人間臭いドラマ。物悲しくも笑え。家族ファンタジーとも読める。2025/01/13
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