出版社内容情報
慶応3(1867)年夏、倒幕軍が攻めてくるという噂でもちきりの江戸。そんな中でも赤ん坊は次々に生まれるが、日ごとに治安が悪化する中で、結実は夜中のお産に駆けつけることが難しくなっていた。そんなとき結実は、かつて手習いで一緒だった、身重のくらと偶然出会う。くらは火事で仕事を失い、お腹の子の父親が彰義隊の隊員となって行ってしまったと途方に暮れていた……。時代が変ろうとする嵐の中で、迷いながらも自らの生き方に矜持を持ち、前を向いて生きようとする人々の姿を描くシリーズ第四作!
内容説明
倒幕軍迫る江戸は浪人が跋扈し、結実は夜中のお産に出かけるのが難しくなっていた。そんなとき、かつて手習いで一緒だったくらと再会する。火事で職を失い身寄りもないくらは、子を宿しているようで…。維新前夜の嵐の中、前を向いて生きる女たちを描くシリーズ第四弾!
著者等紹介
五十嵐佳子[イガラシケイコ]
山形県生まれ。作家、フリーライター。お茶の水女子大学文教育学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kagetrasama-aoi(葵・橘)
36
「結実の産婆みならい帖」第四巻。時代がきな臭くなってきました。新将軍徳川慶喜の就任、そして大政奉還と歴史が動いて行く中でも、江戸の町では日々の暮らしがあり、子供が誕生します。真砂が引退したことにより、結実の負担が増えて、心配になりました。火事が頻繁におこるため、火消の家に嫁いだすずも本当に大変そうです。読んでいて早く平和な時代になって欲しいと切実に思いました。その中で凧あげのエピソードは心が温まりました。次巻が早くも待ち遠しいです。2024/02/05
のびすけ
27
シリーズ4作目。それぞれ家庭を持ちながら産婆の仕事に追われる毎日の結実とすず。そんな中、母親として火消しの妻として多忙なすずは仕事が疎かになり、二人の仲がぎくしゃくしてしまう…。幕末から明治へと世の中が大きく変わろうとしている。多くの人が傷付き命を落とす中、新しい命に懸命に向き合う二人に心を動かされる。産婆見習いとして仲間に加わったおはまちゃんの境遇も涙を誘う。いろんな思いが込められた凧を見上げる結実に、自分も祈るような気持ちを重ねてしまう。2024/01/19
すみっちょ
8
幕末の江戸市中がこんなに切羽詰まった状況だとは知りませんでした。それはともかく、結実の負担があまりに大きいことと、すずはすずで産婆をやりながらあれもこれもとやることが多すぎて、二人とも壊れてしまいそうで心配でした。二人ともいっぱいいっぱいだったので。女は損だとすら思えてしまい…はまが来てくれて本当によかった。そして、はまに出会えたのは良枝のおかげでもあるんですよね。良枝を前ほど嫌な人だとは思わなくなりました。良枝の腹の括り方が見事だったからかな。子どもを欲しいと願う結実の気持ちに胸がいっぱいになりました。2025/02/27
りょう
5
江戸末期、街は彰義隊の戦や、天子様の上京であれこれ慌ただしい。そんななかで、見習い産婆の結実を中心とした連作集。自分のうまくいかない妊活、同僚との仕事分担、人手不足、夫婦の問題、あれこれあるけど、成長して逞しくなっていく姿がかっこいいです。2024/01/20
はる
5
23年236冊目/結実のモヤモヤはすごくよく分かるな。私も人の分まで働いて当たり前という立場だから。人並みってなんだろうね、現代まで続くテーマだなあと。幕末から大政奉還のあたりが描かれた作品はあまり読んだことがなく、ここまで江戸が危険だったとは。時代は明治になるけれど、もう1作くらい続くかな。2023/12/26