出版社内容情報
藤原兼家の三男に生まれた道長は、才気溢れる長兄の道隆、野心家の次兄の道兼に比べて、平凡で目立たない存在だった。左大臣の娘・倫子と結婚、そして父の死により、出世競争の道を走り始める。平安王朝の貴族社会を描いた傑作歴史小説。
内容説明
藤原兼家の三男に生まれた道長は、才気溢れる長兄の道隆、野心家の次兄の道兼に比べ、平凡で目立たない存在だった。左大臣の娘・倫子と結婚、そして父の死により、出世競争の道を走り始める。平安時代の寵児・藤原道長の生涯を通して、王朝の貴族社会を描いた傑作歴史小説。
著者等紹介
永井路子[ナガイミチコ]
1925年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業。64年『炎環』で直木賞、82年『氷輪』で女流文学賞、84年菊池寛賞、88年『雲と風と』ほかで吉川英治文学賞、2009年『岩倉具視』で毎日芸術賞を受賞。23年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がらくたどん
64
Kポップアイドルの推し活を長年続けている知人によるとボンヤリな候補生がメジャーになるのを応援する醍醐味は格別だそう。才色兼備な長兄と策略家の次兄の後ろをとぼとぼと「楽してモテる人生」を夢想する素直が取り柄の三男坊が勝気な姉と姐さん女房の妻には歯がゆくて可愛くて♡刻々と変わる政局を前にやる事なす事後手後手で「何たること何たること!」と呟きながら彼女達の叱咤と激励にありったけの知恵と気力を振り絞り応えようとする北家の落ちこぼれアイドル。そう彼は自分の凡庸さを知っている。だからこそその成長が愛おしい♪彼は道長☆2024/10/20
たま
63
新潮文庫所収の小説が朝日文庫で再出版されたもの。道長がメインで紫式部は上巻には登場もしない。永井路子さんの書き方が見事で、司馬遼太郎ふうに平安時代の婚姻、政治、人間関係を読者に説明しつつ、その説明が情景、心理描写になだらかに接続し読み応えがあった。だいたい道長の繁栄は姉の詮子、正妻の倫子(90歳の健康長寿で子供に恵まれ、娘らの入内出産育児を取り仕切った)の存在あってのものだが、そこを存分に書いていて面白い。各章ごとに主要人物の系図の関係部分が抜き出してあるのもとても良い。で、下巻へ。2024/02/16
Book & Travel
45
大河ドラマに関連した本を読みたいと思い、平安時代最大の権力者・藤原道長を描いた本書を手に取った。上巻は紫式部こそ出てこないが、正にドラマの時代を先取りした形。道長の兄の道隆と道兼、姉の詮子をはじめ登場人物が個性豊かに描かれ、執筆された昭和の時代を感じる所はあるものの、やはり永井氏の作品は面白い。若き道長は権謀術数の渦巻く出世争いから遅れ一喜一憂。華やかに見えて貴族の世界も大変だったのだろう。同じ藤原でも実資ら別系統の人物や、時折存在感をみせる公家源氏・平氏の人物との関係性がリアルに伝わるのも興味深かった。2024/02/08
kei302
44
永井路子作品KindleUnlimited大量に出回っているのを見かけるが、歴史物はちょっと…とスルーしていた。流行に乗って源氏物語周辺の作品をレンタルしてみた。初めて読む永井作品。読みやすい、ものすごく。今まで避けていたのを悔やむ。凡人道長、運が向いてきたところで上巻はお終い。清少納言は出てきたけど、紫式部は出てこなかった。2024/06/09
鐵太郎
39
買ってしばらく読まなかった訳は別として、平安時代をある意味代表する貴族、藤原道長の生涯を追った歴史小説と言うことで読み始めました。上巻は、父藤原兼家の正妻の三男坊(正しくは五男)でのほほんとした末弟であって道長が、二人の妻を得て、じわじわと権力争いの中で生き残るすべを身につけ、野心を抱き、地歩を固めるまで。父兼家の病没の後、13歳年上の長兄道隆、5歳年上の兄道兼の病没を好機としてついに内覧宣旨を受けます。下巻ではどうなるのか。 ──この時代について考える事はあるけど、それは下巻で。2024/01/24