出版社内容情報
「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。文庫化にあたって各紙誌に執筆した芥川賞受賞記念エッセイを全て収録。
内容説明
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない“わたし”は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすように誘導し…。第161回芥川賞受賞作。文庫化にあたり受賞記念エッセイをすべて収録。
目次
むらさきのスカートの女
芥川賞受賞記念エッセイ
著者等紹介
今村夏子[イマムラナツコ]
1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で11年に三島由紀夫賞、17年『あひる』で河合隼雄物語賞、『星の子』で野間文芸新人賞、19年『むらさきのスカートの女』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
319
オチへ向けての加速度、そう来ましたか( ¨̮ )。一見すると付録の様に見える『芥川賞受賞作記念エッセイ』集迄含めて本作と言う理解でokなのかな。以前より「むらさきのスカートの女ヤバい」「それより黄色いカーディガンの女の方がヤバい」と、漏れ伝わっておりました。どんなヤバさを持っているのかな(愉しみ)と、読み始めました。でも、スカートさんは言う程ヤバく無いですね。カーディガンさんは分かり易くヤバい。妄想が肥大化してまっとる。スカートさんを似た属性(下位カースト)と誤認して、ストーカー化しちまっているもんね。2023/09/22
absinthe
254
読み進めるうちにひやりと背筋が寒くなる。ちょっと跳んでる精神世界にすむ女性の話。信頼できない語り部が作った架空の人物だと思う。物語の中に散逸する怪しいエピソードの数々。原因をあえて書きたくないこと、つじつまを合わせたくないことを、あの女の存在でつじつまを合わせてしまっているのだが。その一方、その女の存在は現実とは思えない。それにしてもユーモラスな書き方が救い。人はまず世界観を作り上げ、その世界を通して解釈を作り上げる。人は眼で外を見ていない。精神世界を見ているのだ。2023/07/04
カピバラKS
237
●至ってシンプルな文章にもかかわらず、妖しい夢を見ているような世界に誘われる。●何が言いたいのかはワケワカメであった。読了感はTV版エヴァンゲリオンを観た後に近い。●むらさきのスカートの女はコミュ障気味のようだ。コミュ障が最低限度の社会生活を営むためには、元気な挨拶と一人でも友達を作ることが必要である。友達作りはハードルが高いように思えるが、ボッチだと思っていても、黄色いカーディガンの女のように友達になりたいと思っている人は意外といるものだ。至ってシンプルな感想を持つ。2023/11/03
あきら
177
面白かったです。あっという間でした。 ただ一気に読んでると、ん?となり、読み返してしまう。不思議な読後感。 2022/07/09
やいっち
176
正直、読み出した冒頭から既に物語の…というより語り口に魅入られた。いろんな感想を読んでも面白かったという人と、つまらない、こんなのが芥川賞かという全く相反する評が。毀誉褒貶喧しい作品。 吾輩は面白かった。少なくとも既存の作家作品にない持ち味がある。そのテイストに合う人はファンになるだろう。2022/08/17