出版社内容情報
父の跡を継ぎ、料理茶屋で料理人を務めるおせん。親方の板前とたびたび衝突しては、稲荷堀の水を眺めて心を静めていたが……。江戸下町の堀を舞台に、市井に生きる人々の人情を鮮やかに描いた感動の傑作短編6編を収録。
内容説明
遊女屋の女将・おなわは、先妻の娘から父娘が浮気をしていると言われるが…「裾継」、料理人として仕事一筋に生きるおせんに訪れた転機「おはぐろとんぼ」、前世の記憶を持つ弟と彼を愛する姉の深いきずな「御厩河岸の向こう」など6編を収録。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年北海道生まれ。作家。95年に「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、01年に『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞。15年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のびすけ
22
宇江佐真理さんの安定の江戸人情もの。とてもよかった。家族、男女、人と人との繋がり。どのお話も愛があふれていて、じんわりと心に沁みる。「おはぐろとんぼ」の上方訛りのおゆみちゃん、「御厩河岸の向こう」の前世の記憶を持つ勇助に、涙ほろり。2024/07/23
ごへいもち
18
ほっこりする話が多い。表題作は好きではないけれど2023/06/26
Y.yamabuki
17
沁々とした趣の短編集。何れの話も派手さは無く、切なさと共にしんみり語られる。ハッピーエンドではない物もあるけれど、その後の穏やかな暮らしが想像され、読後はむしろすっきり。通底する人の情、温かさが有るからだろう。何れの話も良かったが、好きなのは「ため息はつかない 薬研堀」“おふみ”さんナイス!宇江佐真理さん、初読み。嵌まりそうな読み心地だ。2022/04/26
Hugo Grove
10
読了2022/05/14
まき
7
江戸時代の庶民の暮らしはそれぞれ厳しかったんだなぁ。みんな日々生活してゆくのがやっとという人が圧倒的に多い。それでも兄弟、家族、男女支え合いながら仕事に励んだりしていたのか。宇江佐真理さんらしいちょっぴり辛口の人情ものでした。2024/08/29