出版社内容情報
【文学/日本文学小説】数千人の人々を乗せて海を漂う“団地船”、永遠に朝が訪れない町、海に沈んでしまった故郷──。私たちが生きる現実から少しだけ乖離してしまった町を舞台に、そこに住む町人を淡く繊細に描いていく、九つの物語。写真・白石ちえこ。
内容説明
数千人の人々を乗せて海を漂う“団地船”、永遠に朝が訪れない町、海に沈んでしまった故郷を探しにゆく男、政府に監視されるニュータウン―。私たちが生きる現実から少しだけ乖離してしまった町を舞台に、そこに住む人びとを淡く繊細に描いてゆく、9つの物語。
著者等紹介
三崎亜記[ミサキアキ]
1970年福岡県生まれ。作家。熊本大学文学部卒業、2004年『となり町戦争』で小説すばる新人賞受賞
白石ちえこ[シライシチエコ]
1968年神奈川県生まれ。写真家。旅の撮影のなかで日常に潜む小さな記憶の断片を追う。「日本カメラ」「アサヒカメラ」に作品発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
160
★★★☆☆17120 やっぱり三崎さんは発想が奇抜で凄い!そんな短編集。抜粋してコメントを。。団地船:この作品を読んだら軍艦島が頭に浮かんできました。団地,公園,商店街がそっくり船に入ってるなんて飛鳥IIもびっくり!四時八分:当方もたまに出先で無性に眠くなるときがあるけど答えがここにあった!この超越した感覚が、特に時刻選びのセンスが最高?彼の影:そうきたか!子供の頃、そんな風に考えた事があったなぁ〜。影踏みして遊んでて。橋:深い作品ですねぇ〜。:巣箱:絵に抽象画ってあるでしょ?もう小説の抽象画ですね。2017/12/16
yu
52
読了。 久しぶりの三崎さん作品。もうどれ読んでも三崎ワールド炸裂。もちろんいい意味で。とにかくありえない現実、説明なんて一切なし。それを当たり前の前提として物語が進んでいくこの世界観。なかなか他の作家さんでは見当たらない領域な気がする。 個人的には「遊園地の幽霊」「団地船」「ペア」がよかった。たまに読みたくなる中毒性のある作家さん。2016/12/28
りょうこ
52
不思議な世界観だったが、かなり面白かった!三崎亜記さん..読みやすくなってる!どのお話も印象深くてしばらくしたらまた再読したくなるな!2014/05/10
rio
48
海に沈んだ町、永遠に朝が訪れない町、人々を乗せ海を漂う団地船など不思議な町を舞台にした9つの短編集。設定の奇抜さと静かで寂寥感漂う雰囲気が良かったです。どんなに絶望的な状況でも、奇妙な町のルールにより受け入れざるを得ない気持ちにさせられ、町の圧倒的な「力」の様なものを感じました。また9つの独立した物語の中にしりとりの様な繋がりがあるところも面白かったです。2014/05/01
佐島楓
43
闇に沈んだ、静謐な世界。人の侵入を拒むような、町のなれの果て。そんな世界が見えてくる。三崎さんは、明らかに何かの暗喩であるこの世界を小説に昇華する特別な力をお持ちだと思う。その根底にあるものは、しっかりとした問題意識だ。だから、文章に硬質な研ぎ澄まされたものを感じるのだと思う。白石ちえこさんによる写真も、底知れぬ空間を切り取っていて、演出として効いている。2014/05/12