内容説明
「お前は何ゆえ、忍びになりたい?」伊賀で一流の忍者に育てられた文吾は、己が忍びであることに思い悩む。やがて織田の大軍が伊賀に迫る!伝奇あり、活劇ありの究極の忍者エンターテインメント、第2回朝日時代小説大賞受賞作の文庫化。
著者等紹介
乾緑郎[イヌイロクロウ]
1971年東京都生まれ。作家。10代より演劇を志す。小劇場を中心として活動し、舞台俳優・演出家・脚本家を経て、36歳のときに鍼灸師の資格を得る。2010年8月『忍び外伝』で第2回朝日時代小説大賞を受賞、同年10月『完全なる首長竜の日』で第9回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
50
信長は何故伊賀を攻めたのか?果心居士を絡めて読み終われば一場の夢の中か。現代においても金と権力を手に収めれば次に求める物は決まるわな。己の出自が分かった文吾のそれからが知りたいところ。次は「機攻のイブ」を読みたい。乾緑郎氏には期待してます。2019/04/05
衛兵
18
天正伊賀の乱はなぜ起こったのか?百地丹波配下の下忍、文吾を主人公に描く伝奇小説。果心居士の幻術が冒頭から炸裂し、同じ天正伊賀の乱を舞台とする和田竜先生の「忍びの国」とは全く別物で、楽しく読書させていただきました。2019/10/05
Katsuto Yoshinaga
10
織田信長の差し向けた大軍により、伊賀惣国が壊滅の憂き目に遭う”天正伊賀の乱(1578、1581年)”を描いた作品。忍者集団とはいえ小国である伊賀惣国に何故大大名たちがムキになったのか、観阿弥、世阿弥や幸若舞”敦盛”を紐解きながら、著者らしい伝奇的で「機巧のイヴ」に連なる理由づけがされている。アクション風味も充分で、映画「百地三太夫」の乾緑郎バージョンなのでは?と思わせられる。「機巧のイヴ」に登場する”窺見”も登場し、実質的な小説デビュー作で、”日下國”世界観のパラレルワールドと考えると面白い。2024/11/30
秋樹
2
なるほど、確かにこれは「外伝」だ!と読み終えて思う。時代小説一筋の先輩方にはこの本は不評かもしれないなあと思いつつ、僕は気に入ってしまいました。実は、これと舞台が重なる和田竜の『忍びの国』を読んだばかりなのですが、書き手が違えばこうも話が変わるか!と、いい意味で笑ってしまいました。王道のエンタメ小説かな?と思って読み進めていると、いつのまにかそこは作者の大風呂敷の中。文吾ともども「煙之末」に化かされた気分。これを好きと感じられるなら、この作者の『完全なる首長竜の日』も楽しめると思います(逆も然り)。2014/04/11
デンティスト
2
織田信長に国を殲滅された生き残りの伊賀の忍び。彼の生い立ちからの生き様を語っているのだが。まか不思議な幻術があり、何が現実か、うたかたか。少し難解な所もあったが、面白かった。2013/10/24