内容説明
地方都市に住む幼児が、ある事故に巻き込まれる。原因の真相を追う新聞記者の父親が突き止めたのは、誰にでも心当たりのある、小さな罪の連鎖だった。決して法では裁けない「殺人」に、残された家族は沈黙するしかないのか?第63回日本推理作家協会賞受賞作。
著者等紹介
貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年東京都生まれ。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補作となった『慟哭』によりデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ehirano1
411
これが『身の上話(佐藤正午)』を打ち破った作品ですね。しかしね、もうね、どうしたらいいのコレ?読後の何とも言えないすさまじい虚脱感。感想すらどうまとめていいかわからないですよ・・・・・。2019/11/16
紅はこべ
393
風が吹けば桶屋が儲かる?塵も積もれば山となる?いや、違うか。誰でも犯していそうな小さな罪とも言えない違反行為が重大な結果を引き起こす。身につまされる。「みんな少しずつ身勝手で、だから少しずつしか責任がなくて、それで自分は悪くないと言い張るんだよ」自分のせいじゃないというのがキーワード。罪を積極的に認めたのは1人、心から悔いたのはあと1人、でも中には家族や同僚から信頼を失い、軽蔑されるという結果を招いたのも数人いる。責任を負うって現代で最も厄介なことなんだな。2016/11/28
らぱ
368
自分ではただ生きているだけ、と思っていても必ず誰かを傷つけている、ということを忘れてはいけないと思いました。 生きていることに罪を感じながら生きる人と、権利ばかりを主張し生きていることに罪を感じない人とは大きな違いがある、と思いました。 小さなモラル違反に後ろめたさを感じ自分の非を認められる人と、後ろめたさを感じながらも自分の非を認められない人と、後ろめたさすら感じず自分の保身しか考えない人には大きな差がある、と感じました。2018/02/17
nobby
358
とにかく身に染みる悲劇…前半描かれた「ちょっとくらい」「今回だけ」など些細な自分勝手が、見事に連鎖。まさに『風が吹けば桶屋が儲かる』。明らかに理不尽な回答には苛立つが、それが“幼児の死”につながるなど誰が想像できるだろう。『慟哭』に続いての貫井作品だったので、最後のひねりも期待してしまったが、これは当事者含め皆に当てはまる問題提起に納得。なかなか余裕がない日常だけれども、出来る限りのモラルを大切にしていこう。2014/06/19
三代目 びあだいまおう
339
『お天とさんはちゃんと見てるんだよ!』幼い頃に私の母はそう教えてくれた。閻魔様とか地獄の話が幼心に恐ろしかった。ダメなことはダメ!理由なんかなくても悪いことは悪いことなんだと。現代の教えはどうなんだろう。大切な読友さんに紹介頂いた本作、読み始めの人物紹介に展開が読めずイライラした。痛ましい事故、そこから物語の伏線が全て繋がってゆく!これ、リアルな話では?ブラジルで蝶が羽ばたけばテキサスで竜巻が起こる?私達の些細な不謹慎が最悪の不幸に繋がってく?無意識な自分本意が乱反射した驚愕の結末!身につまされる‼️🙇2020/02/10