内容説明
2009年5月26日、栗本薫=中島梓が56歳の生涯を閉じた。08年、すい臓ガンが肝臓に転移し、抗ガン治療を続けて以来、意識を失う直前まで精力的に執筆をした。作家であり、主婦であり、母であったひとりの女性のかつてないガン闘病記にして命の証し。
著者等紹介
中島梓[ナカジマアズサ]
1953年東京都生まれ。別名に栗本薫。作家。77年、中島名義の「文学の輪郭」で群像新人文学賞評論部門受賞。78年、『ぼくらの時代』で江戸川乱歩賞受賞。著書に、『グイン・サーガ』(本編130巻、外伝21巻)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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瑪瑙(サードニックス)
34
すい臓がんと診断され、抗がん剤治療が始まり、肝臓に転移が見つかって亡くなるまでの、日記形式の記録。壮絶でした。最後の最後まで書き続けた姿に胸に迫るものがありました。少しでも長く生きたい、書きたい、ピアノを弾きたい、着物を着ておしゃれしたいという強い思いとは裏腹に体はガンに蝕まれていく。前作「ガン病棟のピーターラビット」とは違って、生きたいという思いがひしひしと伝わってきました。言葉がありません。2025/02/26
ごま
12
学生時代に大好きだったグインサーガと伊集院大介シリーズ。作者の栗本さんが亡くなったことはもちろん知っていたが、闘病記は亡くなっていることを知っているだけに怖くて長いこと読めないでいた。 毎日家族のために食事を作り、食べ、小説を書いていた様子に胸がつまる・・・本当に亡くなる直前まで書き続けていたんだなぁと思うと涙が出た。2013/04/03
黒豆
7
2008年9月から2009年5月までの仕事を含めた病状日誌、癌の治療と副作用含めた病状が客観的に冷静に記録されている。夫婦の関係もいい感じ。例えば、2008年11月4日の日記、肝臓の数値がとてもいいので、癌太郎君達はおとなしくしているみたいだ、いま具合が悪いのはもっぱら消化器系で、これはきっと抗ガン剤にへこたれてしまったんだろう。それも今日の夜と明日の朝夜、それに木曜のの朝の4回でまた2週休める。なんとかそこまでガンバレ、と自分のお腹にハッパをかける。2016/09/11
ぬのさと@灯れ松明の火
4
執拗なまでにどんな着物を着たか、どんな食事をしたかが綴られています。本当に死の直前まで、家族のために料理を作り、小説を書いていたんですね。読んでいて息苦しくなり、もう「グイン・サーガ」の続きを読むことはないのだという喪失感を思い出します。2012/03/10
後ろのお兄さん
3
自分が末期の癌で、余命いくばくもないことを十分知り、しかも最近体調が著しく悪い、なのに、「このまま自分は死んでしまうのかもしれない」とは考えないんだな、ということがよくわかりました。亡くなる10日ほど前の日記が最後の日記になるんだけれど、それが、パソコンに残した「ま」の一文字。この本は、その「ま」にたどり着くために読まれるべき本なのだろうと思う。中島梓って人は別に好きでもなんでもないけれど。
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