内容説明
深川蛤町で鍼灸師を営む染谷は、“ツボ師”の異名をとる名手。高利貸しの難病を癒す代わりに取り立てをゆるめるよう諭したり、死にゆく婦人の痛みを和らげたりと、市井の人々を癒し、人助けや世直しに奔走する染谷の日々を描く。胸のすくような長篇時代小説。
著者等紹介
山本一力[ヤマモトイチリキ]
1948年高知県生まれ。小説家。会社員を経て、97年に「蒼龍」で第77回オール讀物新人賞を受賞。2002年には『あかね空』で第126回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HIRO1970
102
⭐️⭐️⭐️⭐️実家借用本。一力さんはまだ5冊目です。毎度ハズレがなく驚きが続いています。本作は正ちゃんの梅安を彷彿とさせる鍼灸師のお話しですが、主人公は殺し屋では無く表社会で真っ当に生きる凄腕鍼灸師で、向かいの凄腕和漢方先生も子供の頃からの同輩で二人揃って辰巳芸者を貰い受けている設定で何とも味のあるお話です。江戸の風情をたっぷり伝える情景描写の素晴らしさが際立っており、見事な一力さんワールドを創り出しています。欲得では無い無償の社会貢献の力が向こう三軒両隣を支えていく筋は見事です。続編は無いのかな?2016/05/20
ねむねむあくび♪
51
図書館の本。久しぶりの山本一力さんは、さすがの円熟の面白さ。 回収できていない伏線は気になるけれど(笑)、続編への伏線だったと思いたい。主人公、タフな還暦の鍼灸師 染谷と、周りの登場人物も良かった。2017/06/24
優希
47
面白かったです。鍼灸師を主人公にした人情時代小説でした。市井の人を癒しながら世直しに奔走する様子が印象に残ります。優しい物語で自分も癒されました。2023/02/22
ともくん
39
深川蛤町で、鍼灸院を営む染谷。 どんな病も、鍼や灸でたちどころに治してしまう。 病を癒やし、患者の人生まで変えてしまう染谷。 患者の命を救い、人生まで救ってしまう染谷の奮闘の日々は続く。2023/05/18
文庫フリーク@灯れ松明の火
39
主人公が鍼灸師なので『仕掛人・藤枝梅安』連想。山本一力さんは長男に『剣客商売』から大治郎と命名されたとのこと。池波正太郎さんへのリスペクト小説だろうか。鍼(はり)に灸(きゅう)を加えたのは良い試みに思えるが、えっ?これで終わりなの?が正直な感想。腕の良さからツボ師と呼ばれる還暦の主人公【染谷】と元・辰巳芸者の妻【太郎】娘が現役辰巳芸者の【いまり】と来て、同い年の友人漢方医【昭年】山本ワールドお馴染みの料亭【江戸屋】米問屋【野島屋】・渡世人【卯之吉】柔の心得有る奉公人【草次郎】と役者が揃っているだけに→続く2010/10/14
-
- 洋書
- Niels Lyhne