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朝日文庫
讃歌

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  • サイズ 文庫判/ページ数 369p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022645340
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

テレビ制作会社に勤務する小野は、無名のヴィオラ奏者・柳原園子の過酷な半生を知り、番組を制作する。園子のCDは爆発的に売れるが、一方でバッシングも噴出する。彼女の音楽は本物か、それとも自分が作り上げた虚像に過ぎないのか?小野が悩む中、園子が突然失踪し―。「感動」の正体をあばく長編小説。

著者等紹介

篠田節子[シノダセツコ]
1955年東京都生まれ。東京学芸大学卒業後、東京都八王子市役所勤務を経て、90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。『女たちのジハード』(集英社文庫)で第117回直木賞受賞。『ゴサインタン』(第10回山本周五郎賞受賞、文春文庫)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

326
篠田節子お得意の音楽(ことに弦楽器)に纏わる小説。ただ、今回は忘れられていたヴィオリストと弱小音楽ビジネス、そしてやはり弱小のTV制作会社と三者三様の思惑が交錯する構成をとっている。さらには、その一方には消費者大衆もいる。したがって、これまでの篠田作品に比べると、音楽の部分は正攻法ではない。解説の鹿島茂は、隆明の「共同幻想」を持ち出すが、確かに、それはこの作品の本質を衝いていそうだ。また、作家にこの作品を書かせた背後には、日本の聴衆への絶望もまたあるのかも知れない。問題とすべきことが多岐にわたりすぎた⇒2019/07/11

エドワード

32
テレビ番組制作会社の小野は、レコード会社の熊谷に誘われて、教会で無名のヴィオラ奏者・柳原園子の演奏を聴く。魂を激しく揺さぶられた小野は、テレビ番組の制作を思いつく。ベルンの国際コンクールで優勝し、渡米したが異文化の壁の前に挫折した園子。テレビ番組は大反響を起こし、CDは爆発的に売れる。後半は数々の嘘や矛盾が露呈し、スキャンダルの嵐に巻き込まれる小野や園子。この物語の肝要は音楽の目的だ。音楽は誰のためにあるのか。音楽家は何を目指して演奏するのか。音楽に救われるとはどういうことか。答えは読者に委ねられている。2021/11/04

kaizen@名古屋de朝活読書会

27
ビオラの演奏への感激で始まる。 千と千尋の神隠しの主題歌「いつも何度でも」、映画タイタニックで演奏の賛美歌「主よみもとに近づかん」、シューベルト「アルペジオーネソナタ」、チャイコフスキー、ベートーベン「コンチェルト」、クライスラー「愛の喜び、愛の悲しみ」、ハイドン 。音楽業界と放送業界の裏が分かる。 悪意ばかりでなく、事実からずれていく様子が手に取るように分かる。2014/04/09

巨峰

27
最相葉月の「絶対音感」を読んだ後なのでよくわかる!つまりクラシック演奏家特に日本で教育を受けた人たちっていうのは、音楽に感動をしない人たちなのです。彼らは、音楽を聴くと、感動する以前に全部音符と音名が並ぶという。彼らにとって大事なのは正確性だったり、技法だったり。正直、クラシック演奏家と日本の一般の観衆は、理解するための共通な何かがない気がするな。そしてこの小説の主人公である小野園子元々その世界の住人で、その世界に戻ろうとしたけど、結局は戻れなかったということでしょう。2011/08/16

Richard Thornburg

22
感想:★★★★★  無名ビオラ奏者の演奏を聴いた主人公が、その演奏に感動するところから話は始まります。  プレイヤーとオーディエンスの価値観や判断基準の違いが物議を醸し出し、プレイヤー自身も世間一般の評価と自分の実力の差に悩み・・・さらにビジネス絡みの話も被さってきて、現実的で複雑な様相をあらわします。  芸術というジャンルはそれぞれの観点で価値観も全く異なり、さらにビジネスとして成功させることの難しさを垣間見た気がしました。  話の展開は小気味よいテンポで話が進むので気持ちよく読めます。  秀作です!2014/04/09

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