内容説明
足利将軍家の威勢廃れ、荒れ果てた都で一休が出会ったのは、邪教・真言立川流の秘儀によってかりそめの命を得た髑髏だった。呪具が告げるおぞましき真実とは…(『一休髑髏』)。室町の闇が織りなす時代妖異譚の粋!書下ろしを含む全六篇。
著者等紹介
朝松健[アサマツケン]
1956年、北海道生まれ。東洋大学文学部卒。書籍編集に携わる傍ら、西洋魔術に関する研究と翻訳を行う。1986年に『魔教の幻影』でデビュー、作家業に専念する。幻想怪奇小説の他、室町時代を舞台とした時代小説を発表し、2006年に『東山殿御庭』が日本推理作家協会賞短編部門候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
21
異形シリーズに掲出された短編を集めたもので、自分としてはすでに読んだことのある短編と、これは未読の書きおろしが1篇。こうしてまとめて読むと、一休禅師の生きた時代を想い浮かべながら物語に入っていけるので、異形に掲載されていた当時感じた違和感はなくよかった。2013/02/14
眠る山猫屋
8
一休宗純、幼年期から晩年まで。老いて丸くなった一休の優しさになんだかショックを受けた。それにしても、旅の途中に生きた一休には、華やかな都大路ではなく、密やかでほの暗い深い森の奥がよく似合う。2016/01/19
澤水月
3
「ホラー専門」作家、記念すべき100冊達成作品。「ひとつ目さうし」「赤い歯形」に漂う真の恐怖、絶望感、確実に読者の脳裏に楔を打ち込む暗黒さ。ホラー専門誌や叢書が多数刊行される現在からは考えられない、「日本にホラー専門作家はいない」とされた頃から書き続けている大先達、ぜひ読むべし。それにしても性と出自の問題、闇を孕む主人公として一休を設定する炯眼には頭を垂れるばかり2009/12/06
nur1202
2
大人になった一休さんが怪異にあって、という中編集。 ユーモア要素はほとんどなく、ほとんど怪談でした。 法力で解決というより、知識で解決しているところが一休さんらしいところ。 関係者の証言だけで構成されている話なんかは、できの良い推理小説を読んでいるかのようでした。 京極堂ファンなんかにも刺さるんじゃないかな。2016/10/30
辺野錠
2
様々な年代の一休の立ち向かう怪異がストレートな怪異から人間の悪意が元になったもの、そして彼の解決できる範疇を越えたものまで幅広いのが良かった。最後の話がこれまでとは違って様々な人の証言から真相が明らかになるスタイルなのも面白かった。そして前に読んだ時から他の朝松健作品も読んだのでここでちょっと触れられていた出来事ってあの短編で描かれたエピソードだったのねと分かったのも面白かったポイント。2017/12/25