内容説明
著者が幾度もその小説の主人公に据えた信長・秀吉・家康を生みながら、なぜか『街道をゆく』の“空白地帯”になっていた愛知県をゆく。体調不良を押して紡いだ7話は分量わずかながら、三英傑が目の前に立ち現れてくるよう。『街道』の連載は急逝により25年で途絶えたが、司馬遼太郎はいつまでも読者の心の中の「街道」を歩き続ける。挿画の安野光雅氏の「司馬千夜一夜」を付載。
目次
濃尾参州記(東方からの馬蹄;田楽ケ窪;襲撃;後水尾・春庭・綾子;高月院;蜂須賀小六;家康の本質)
「濃尾参州記」余話(司馬千夜一夜(安野光雅)
名古屋取材ノートから(村井重俊))
「濃尾参州記」の風景(画・安野光雅;写真・長谷忠彦)
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年、大阪府生まれ。大阪外事専門学校(現・大阪大学外国語学部)蒙古科卒業。60年、『梟の城』で直木賞受賞。75年、芸術院恩賜賞受賞。93年、文化勲章受章。96年、死去。主な作品に『国盗り物語』(菊池寛賞)、『世に棲む日日』(吉川英治文学賞)、『ひとびとの跫音』(読売文学賞)、『韃靼疾風録』(大佛次郎賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k5
64
夏休みの旅行は岐阜に行こうと思って、予習に読みはじめました。しかし、司馬さんの絶筆ということで、美濃にはたどり着かず、尾張と僅かに三河に入って終わってしまいます。桶狭間や徳川家のルーツなど興味深い話が展開されていただけに、斎藤道三とかも扱ってほしかったです。2022/08/11
kawa
39
遂に最終巻到達。超長編「徳川家康」(山岡宗八著)読書中なので、濃尾や参州(三河)は楽しみに取って置いたのだけれど、本作が絶筆作だったとは、うかつにも読み出すまで知らなかった。桶狭間や徳川家発祥の松平郷などに足を向けて、足りない部分は、安野光雅画伯の画やエッセイ等。25年に渡る長期間の業績、私も読了に2年半、充分楽しませていただいた。これからも座右の書として重宝することだろう。司馬先生ありがとうございました。2022/03/01
金吾
37
未完なのが残念ですが、桶狭間や徳川家の先祖の話は面白かったです。街道をゆくを読んでいますと訪れたことがある場所はその当時を思い出して楽しいですし、新たに行きたくなる場所が見つかり有意義な時間を過ごせました。また1巻に戻って読み直そうかなと思います。2022/09/29
kawa
36
(再読)来週、名古屋方面旅行予定のため予習的再読。桶狭間や徳川発祥地の三河地方に触れて、残念ながらの絶筆巻。同掲の安野画伯のスケッチ画から推測すると、名古屋城、犬山、岐阜周辺が未掲載か?…どんな紀行文になったかを氏の小説群から想像するのも楽しい。取りあえず信長の足跡を辿って、清州城、熱田神宮、桶狭間行きは候補かな。安倍龍太郎氏「『英雄』を歩く」の「信長と桶狭間」「家康と桶狭間の敗戦」部分も並行読了。2022/11/14
koji
34
「街道をゆく」全冊読破を目標にランダムに読み始めています。9巻目は、2年前まで名古屋に住み、昨年は大河「家康」に嵌ったことから最終巻を選びました。YOUTUBEで映像ドキュメンタリーも見ていたので、スッと入れました。さてこの巻の特徴は、鶴田光敏先生、馬島慶直先生、舟橋利彦先生という3名の医師の存在と、何となく病気の話が多いこと。死を予兆していたのでしょうか。もの悲しさを感じます。ただ本書に併録された「安野さんと編集者の『余話』、取材時の風景」を読み見る限り、とても当時死を目前にしていた感じがしません。哀悼2024/09/01