内容説明
阪神大震災の前日、N県警警務課長・不破義仁が姿を消した。県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか?本部長をはじめ、キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交差する…。組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス。
著者等紹介
横山秀夫[ヨコヤマヒデオ]
1957年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業。上毛新聞記者を経て、作家として独立。「陰の季節」で松本清張賞、「動機」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三代目 びあだいまおう
287
やっぱり読ませる横山さん❗阪神大震災と時を同じくして、とある県警幹部が失踪した。蒸発?逃亡?それとも事件?その幹部は警察組織の『核』としての役割を持ち、その者の動向は組織全体を揺るがし、警察の威信をも覆しかねない!震災での犠牲者が報告の度ごとに千人単位で膨れていく未曾有の大惨事がありながら、警察幹部の面々は自分の保身と将来のことしか考えない!!更にはそいつらの妻たちも!どうしようもないクズばかり!救いようのない警察組織と幹部どもにイライラしっぱなしです。せめて『実際は違うよ』と信じたいが無理か⁉️🙇💦2019/01/11
サム・ミイラ
263
横山秀夫の作品の中で最も好きな長編。クライマーズハイとは一位の座を最後まで争ったが。一人のノンキャリ幹部の失踪から端を発する県警内部のゴタゴタを描く物語。各幹部の思惑とそれぞれの家庭環境までもリアルに描写しながら失踪の謎を浮き上がらせる文章と技法には感嘆する。実はこの事件の真のテーマは男女の愛憎であり、やりきれなく深く悲しい作品である。決して表立って出ては来ないので、読み取るかどうかが好き嫌いの分かれ目になるだろう。同日に起きた阪神淡路大震災を重ね、崩壊と混乱と再生への希望を願う祈りにも似た名編である。2014/09/16
ehirano1
212
どういうわけかページが進まないです(あれっ?)。一か月くらいかかっても入り込めません(なんか変です・・・)。横山さんなのに・・・。ん~~、こういう時は思い切って閉じてみようと思います。そのうちタイミングは来るはず!それまでしばしのお別れ。2018/03/04
ひかちゅう
203
タイトルからして震災関係で活躍する警察官のはなし!?と思いきや、意外にもある意味真逆の展開に・・・。遠く離れた地で起きた震災は無関係と思う気持ちもわからなくはないが、出世と保身にのみ囚われている姿には割り切れない気持ちになる。警察組織の内部のドロドロとした描写はさすが横山秀夫作品。2017/02/20
しんたろー
192
警察幹部7人(一人は失踪中)と、その細君たちの群像劇。各々の欲と思惑が絡み合う心理戦は、心の闇をえぐっていて読み応え抜群!…とは言え、時系を整理した短い章を並べて視点を変える構成の巧さ、そして何よりも高い文章力と目に浮かぶような人物描写で、長編とは思えない程アッと言う間に読めて、微かな希望を感じるラストも好き。主だった人物は13人以上いるのに、誰もが顔を持っていて混乱しないで読めた…「小説って、人間の書き分けと心情が伝わってくる事が大切」と改めて教わった気分。上手い役者で舞台化したら名作になると思う。2018/01/10