内容説明
女なら誰もがなりたい「美人」。しかし、そもそも美人とは何か。性別、年齢、地域はもちろん一人の人間の主観と客観の間においてさえ微妙に揺れる美人観。美人を目指さずにはおれない女性たちの行動と心理に潜むその本質を独特の観察眼で喝破し、ユーモアで包んで読ませる、身につまされる美人論。
目次
美人を自覚するという罪
冠婚葬祭美人
ヤンキー美人
所属美人
機能性美人
お商売美人
田舎じゃ美人
ミスコン美人
よく見りゃ美人
元美人〔ほか〕
著者等紹介
酒井順子[サカイジュンコ]
1966年東京都生まれ。高校在学中より、エッセイストとして活躍。立教大学社会学部卒業後、広告代理店社員を経て、現在にいたる。2004年『負け犬の遠吠え』で第4回婦人公論文芸賞、第20回講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
369
男性の書いたものとしては井上章一の『美人論』が名高いが、こちらは酒井順子の『私は美人』。彼女自身が自分は美人だと言っているわけではない。もっとも、言っていないこともないのだが。様々な角度から美人を語っているが、彼女は面白さのツボを心得ているようで、どの章も思わず笑いが漏れてしまう。また、ここまで書いていいのかと心配になるようなことも実名で書く度胸も持ち合わせているようだ。柔道のヤワラちゃんのくだりがそうだ。ただ、田舎や(京都を除く)西日本に対して、妙な優越感と差別的とも思える言辞を吐くのはいただけない。2019/10/21
takaC
56
酒井さんの企画力は脱帽モノ。いや全く。2016/05/24
優希
42
面白かったです。美人をテーマにしたエッセイ。様々な美人について考察していますが、独特の視点があるのですね。酒井さんならではの美人に興味があるのが分かります。2021/11/20
明智紫苑
11
人間の容姿はその人自身のためだけでなく、他者との関係性のためにある。そして、人間の容姿の評価は他者との関係性次第で大きく変わる。人間の外見とはそれだけ複雑な要素があるので、美人を論じる本が出るのは当然だろう。そういえば、私が子供の頃よりも現在の方がよっぽど一般人女性の容姿レベルが上がっているように思えるが、昔に比べて美人が増えたのは、交通手段の発達によって他の地域に行きやすくなり、恋愛や結婚のパートナーの選択肢が増えたからというのも一因かもしれない。2017/05/16
cithara
7
わざわざ日本海側の都市に出向いて、道行く女性が美人かどうかを判断するという行為に感心してしまった。人間が美人かそうでないかの判断は不毛であることは著者にも分かっているのだろう。調査結果も「秋田美人」という言葉に引きずられたものになったという。著者は本書刊行当時(2007年)にすでに女性は何歳になっても美しさをずっとキープし続けなければならない風潮を危惧しているが、最近の著作を読むと、今現在もその不安を感じているらしい。私も女性誌を読むと、一生自分を磨き続けなければならないという強迫観念にかられる。2012/05/31
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