内容説明
とある海辺の集落「浦」を舞台に、教師と恋に落ちた少女、奇妙な昔語りにふける四人組の老人などがつむぎ出す、半世紀あまりの脱線につぐ脱線の記憶と現在の物語。第15回三島由紀夫賞を受賞した表題作に、第12回朝日新人文学賞受賞の「水に埋もれる墓」を併録して文庫化。
著者等紹介
小野正嗣[オノマサツグ]
1970年大分県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。パリ第8大学文学部博士課程に留学。フランス語圏カリブ海地域文学を研究。2001年『水に埋もれる墓』で第12回朝日新人文学賞受賞。02年には『にぎやかな湾に背負われた船』で第15回三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めだいさる
8
田舎町の因習をどこかユーモラスに悲しくマジックリアリズムの要素を散りばめて展開していく。 地味だが中々いい作品だった。2026/02/15
giant_nobita
6
表題作について。文学的な比喩を多用しながら、「浦」の人々の会話に耳を傾けるだけの影の薄い語り手。必然性のない、遊戯のような比喩は、妊娠の可能性に怯える語り手の幼さを浮き彫りにする。「聞く」ことに終始していた少女は、終盤でようやく名前を与えられ、「見る」存在になる。文学的な比喩、順序の混乱した語り、影の薄い語り手といった不調和な要素を、語り手の幼さに回収しきれるかどうか。単に技術不足という気がしなくもない。/併録された『水に埋もれる墓』も読むと、比喩の多用や順序の混乱自体が主題で、物語は付随物なのかも。2019/02/02
gu
4
九州の海辺の田舎を舞台に、現代の(外からやってきた)少女が語り手になり、そこに根付いた人たちのお喋りがあり、そして第二次大戦、あるいはそれ以上の昔に端を発した出来事が明かされる。という構図が二作で共通している。表題作は噂話の連なりから虚と実が立ち上がるその様や、船の中で幻視した「存在しないはずの光景」の凄絶さ、そして意外なユーモラスさが優れている点だと思った(でも小説の決着と生理を重ねるのはどうなんだろう)。2023/07/05
水原由紀/Yuki Mizuhara
3
脱線、ではあるのだが迂回――というかフランス文学系特有の記述法の匂いがする。ゼーバルトとかに近い。中上健次やフォークナー的な土地、人間の関係性に記述を重ねることで情報圧をかけるやり方を取っているが、文体は蓮實重彦のような迂遠な振る舞い? 友人の感想として「比喩が人間に先行する記述の仕方というか、喚起のさせ方があって……」という話を聞いたがそれは本当にその通りだと思った。二作品とも佳品というかよくできてるがヤバさの方角へまだ突き抜けていない気がする、いや、この小説自体はすごく丁寧だし面白いんだけど!2014/01/20
takao
1
ふむ2026/03/03




