内容説明
高揚の1960年代はしらけの70年代を生み、同じく80年代は90年代を生み落とした。80年代の霧のように立ち篭め始めた日本固有のソフトな超管理社会を漂流しついに自我喪失に至った青年は、90年代には自己回復の荒療治としてカルト宗教に走る。80年代を土台に魔境の90年代を読むための「予感の書」。
目次
機械じかけの聖母―プロローグ
風の犬
青年のチワワ
朝のパルス・山犬の夜
イノセントランド行き・涙の連絡船
イエローボイス・エッセイ
0.3秒の沈黙
桃の栽培
トム坊やの自閉的な冒険
子宮サイズの馬之助
義眼の犬
消える蛇―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
山口透析鉄
17
これ私は単行本で読みました。 母性原理的なものによるファシズム、日本はそういうのは大いにあり得ると思いますね。 河合隼雄氏だったら場の論理と個の論理、母性原理と不正原理といった説明をされるでしょうし、世間と社会の違いといった表現でもあっているかとは思いますが、この身にまとわりついて離れない、得体の知れない鬱陶しさ、藤原新也氏の本は一定、そこを解き明かしてくれているようにも感じます。 読み応え、人それぞれでしょうが、時代論的な文章、氏は得意ですよね。1989/01/01
kana0202
2
イイ。犬がさまざまな役割を負わされていることに注目して再読したい。管理社会はいまもそう、自分も含めて、気づかないところにまで侵入している管理をどうしたら良いのだろうか。そこから逃れることもまた一つのモデルをなぞることになる。令和時代の小田急線沿いの二つのテロは80年台から40年を経た現在の青年たちのどのような心境をあらわすか。80年代といえばサッチャー、レーガン、中曽根と新自由主義がはじまったころだ。コロナの病床不足がそのころに由来するとして、テロ、オリンピック、新自由主義。みな、関連しているはず。2021/09/09
Kunio Hanaoka
2
一部に熱烈なファンがいる藤原新也。その代表作がこれ。内容は言えないが、「乳」は母を表す。全て何もする必要がないという自閉症を患った「私」は、母が人生の全部を引き受けてくれる。身につまされる話だ。2014/12/26
みえのさ
2
非常にウェットなというか絵画的、映像的なドキュメンタリー文学である。昭和の終わり頃出版された本だが当時の世相がまざまざと甦ってきた。今読んでもうなづける普遍性はある。が著者の鋭い感受性についていけないものにとっては灰汁が強いかもしれない。2014/12/13
富山 繁樹
1
ハードカバーで読んだ。草塩温泉。犬。2006/02/03




