出版社内容情報
日本の中世は、武家の権力体を創出させたことで特異な国家システムをつくり、その後の歴史を規定した。天皇(至尊)と武家(至強)の両者が権威と権力を分掌する補完関係を形成──武家の権力機関「幕府」とは何であったのか。その歴史的役割を問う。
内容説明
日本の中世は、武家の権力体を創出させたことで特異な国家システムを創り、その後の歴史を規定した。天皇と武家の両者が権威と権力を分掌する補完関係を形成―その武家の権力機関は「幕府」と呼称される。東アジアにあって、中国やその周辺諸国とは異なる武家(幕府)を胚胎させたことで、中世以降の王権(天皇)は象徴的存在として機能する。その点では、武家は日本史上で“健全なる野党”を演じ続けることになる。ここにいう“野党”とは国家権力を一つの機関による専制から防ぐ政治権力を指す。中世の時代は幕府を誕生させたが、天皇を戴く公家(朝廷)を解体させることはせず、存続させる方向を選択した。「奪ったのか」「委ねられたのか」?わが国の中世が選択した権力システムの行方を問う一冊。
目次
序 謡曲『絃上』の歴史的回路―虚構を読み解く、「王威」そして「武威」
1 武家か天皇か(「本朝天下ノ大勢」と天皇;「本朝天下ノ大勢」と武家)
2 内乱期、「王威」と「武威」の諸相(東西両朝と十二世紀の内乱;南北両朝と十四世紀の動乱)
3 近代は武家と天皇をどう見たか(近代日本国の岐路;武家の遺産;再びの武家か、天皇か)
著者等紹介
関幸彦[セキユキヒコ]
日本中世史の歴史学者。1952年生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻博士課程修了。学習院大学助手、文部省初等中等教育局教科書調査官、鶴見大学文学部教授を経て、2008年に日本大学文理学部史学科教授就任。23年3月に退任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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