出版社内容情報
【歴史地理/日本歴史】天平の至宝、興福寺阿修羅像等は2009年に九州国立博物館でX線CTスキャナで撮影された。3面の下に別な顔があった、正面で合掌していたなど、驚くべき発見があった。9年に及ぶ画像解析の成果を所蔵者、保存科学、美術史、彫刻家、木材学の専門家が明かす。
興福寺:監 多川俊映、今津節生他[コウフクジ:カンシュウ タガワトシエイ、イマヅセツオ ホカ]
著・文・その他
内容説明
2009年開催の国宝阿修羅展は、延べ190万人を超える観覧者を集めた。その巡回展のはざまに、阿修羅像をはじめ9体の仏像を文化財用大型X線CTスキャナで撮影、健康診断が行われた。結果、内部は虫食いもなく、造立当初のまま、「健康」に保たれてきたことがわかった。計測から9年、ようやく膨大な撮影画像データの解析結果が明らかとなってきた。脱活乾漆技法とは何だったのか、合掌手の位置は心木復元でわかったのか、心木に使われた材木の特定など、興福寺、保存科学の専門家、美術史家、仏師、木材研究者ら8人がそれぞれの立場で解説。文化財の未来を見据える。
目次
1章 X線CTスキャナによる阿修羅像の調査
2章 X線CT調査でわかったこと(X線CTスキャナが見通した天平の超絶技巧;本格化する文化財のCT調査)
3章 阿修羅像に隠された三つの顔 懺悔と帰依の造形
4章 阿修羅は合掌していた
5章 人工知能を使って心木の樹種特定に迫る
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yyrn
11
最初、阿修羅像をCTスキャンしてその制作過程を解明するという話に、それで阿修羅像の魅力が伝わるのかな?と思ったが、阿修羅像がどのような技で作られ、守られて今に伝えられたか。先人たちの努力と思いが研究者たちの驚きと興奮とともに伝わる本だった。最大の驚きは、阿修羅像が原型塑像に麻布を貼り重ね、塑土を除去した後に木屎漆で表面を整形する「脱活乾漆技法」で作製されたので原型が内側に残っていたが、3面とも表とは表情の異なる顔だった!という点で、なぜ仕上げの時点で変更が施されたのか?制作者の思いか?光明皇后の指示か?2018/09/19
ユウユウ
6
#読了 知りたい秘密2022/06/20
参謀
2
阿修羅像は東京で展示会が開催された時は見に行っていませんが、奈良にある時に少なくとも2回は間近で見ています。やはり仏像?の中でも一際興味をそそられる存在です。TVの特集でも見ましたが、前の手は合掌していたと証明されたようです。それにしてもCTスキャンに3Dプリンタ等々。まさに現代科学技術の結晶の調査です。それでも同じものは作れないという…運搬も大変のようです。そりゃ~、壊れたら大変ですもんね。でも昭和の時代にはかなり危険な状態で運ばれていたみたいです。運んで壊れたら展示どころの話ではないでしょうに。2018/09/02
やご
1
阿修羅像を代表とする奈良・興福寺の仏像の数々を展示する「国宝 阿修羅展」が、2009年に開催されました。大人気だったことは記憶していますが、延べ190万人を超える観覧客を集めたとはすごい。開催にあたっては、展示会場の一つであった九州国立博物館に文化財用の大型X線CTスキャナがあったことから、出展された八部衆・十大弟子のうち阿修羅を含む9体について、これを用いた調査が行われました。(続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/1562.htm2024/09/10
takao
1
ふむ2021/08/17
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- 和書
- さようなら細木数子