出版社内容情報
幕末から明治初期にかけて、長崎、横浜、江戸で次々に「新聞」という当時のニューメディアが生まれた。近代国家に必須な報道・言論の舞台である新聞が登場するまでのドラマを、新聞発行に挑んだ9人の苦闘の生涯をたどって描く。
内容説明
幕末の激動の中から明治日本が生まれる過程で、長崎、横浜、東京などで次々に新聞が生まれた。読者はかぞえるほど、活字も販路も取材網もなく、手書きのものもあった。草創期の新聞の苦闘とそこに見られたジャーナリズム精神の萌芽を、9人の新聞人の生涯を通じて描く。出自、個性、文章、めざしたものもさまざまだったが、各人の挑戦、苦労、挫折の全体が、近代国家に不可欠な、報道と言論の舞台としての新聞というニューメディアを育てていった。ジャーナリズムを育てた新聞という媒体には、誕生時から、政府の干渉、党派的報道、販売競争など今日に通じる問題も見られる。今、新聞・テレビの時代を経てネット時代を迎え、ジャーナリズムが変貌をとげようとしている。その針路を考えるうえで先人たちの歴史は示唆に富んでいる。
目次
序章 清八と宇平衛の受難―ジャーナリズム以前
第1章 ジョセフ・ヒコの悲哀―「新聞の父」再考
第2章 ハンサードの志―新聞がやってきた
間奏その1 青年旗本の悲劇―池田長発
第3章 柳河春三の無念―原点としての「中外新聞」
第4章 岸田吟香の才筆―新聞記者の誕生
間奏その2 旧幕臣の矜持―成島柳北
第5章 福地源一郎の言い分―「御用記者」と呼ばれて
間奏その3 鉛活字の誕生まで―本木昌造
第6章 ブラックの栄光―「日新真事誌」の時代
著者等紹介
奥武則[オクタケノリ]
1947年生まれ。法政大学社会学部・大学院社会学研究科教授。早稲田大学政治経済学部卒。毎日新聞社で学芸部長、論説副委員長、特別編集委員兼論説委員などを務め、2003年から現職。社会の中でジャーナリズムが果たすべき役割を近現代日本の歴史の中で考えている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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