出版社内容情報
DVやアルコール・ギャンブル依存、引きこもりの息子と母、いつもダメ男を選んでしまう女性……。問題を起こす人を抱え込むことは愛であったはずなのに、なぜ事態は悪化してしまうのだろう。家族関係に困ったとき、「共依存」という言葉は解決のためのヒントを与えてくれる。新装版に寄せて、田房永子氏が解説を寄稿。
内容説明
引きこもり、DV、ギャンブル・アルコール依存、母娘関係…抱え込むことは愛であったはずなのに、なぜ、悪化し、生きることすら苦しくなってしまうのか。数々の臨床例や小説・映画・ドラマを題材に、「共依存」の罠を分析、悩む家族を解決へと導く。
目次
第1章 アダルト・チルドレンと共依存
第2章 共依存とケア
第3章 ケアする男たち
第4章 『風味絶佳』は「風味絶佳」だ
第5章 「冬のソナタ」は純愛ドラマか?
第6章 母の愛は息子を救えるか?
第7章 かけがえのなさという幻想
第8章 暴力と共依存
第9章 偽装された関係
著者等紹介
信田さよ子[ノブタサヨコ]
1946年岐阜県生まれ。公認心理師。お茶の水女子大学文教育学部哲学科卒、同大学院修士課程修了。95年原宿カウンセリングセンター設立、所長を経て現在は顧問。日本公認心理師協会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カッパ
13
文庫になったのは最近だが、本自体は前に読んだ気がする。 おそらく読んだのだろう。共依存という言葉は一般的になったがそこにはなにがあるだろうということを掘り下げた本。 女性のアルコール依存の患者の夫の特徴などを書いた部分もあった興味深い。人間として扱わらなかったことの怒り、そのような状況を変えることのできない自分の無力感からお酒を飲んでいるというくだりは特に胸にささる。2023/11/23
leiaikawa
3
読んだ。つらい!!!!つらい!!!!!自分の親との関係や配偶者との関係が他者に言語化されて類似エピソードが展開されその構造を分析される……というのがこんなにつらいとは。 最後に「依存が悪いんじゃない、悪いのは支配」と書かれていてちょっとほっとしたけど、自分だって支配側に回ってること絶対あるし、人生全ての場面で被害者ヅラできるわけじゃないだろうな、と思った。 とりあえず、ほんとは自分の親に読んで欲しいけど、何言われるかわからんし怖いので言わないでおく。2023/12/27
pikka_bookk
2
誰かにとって欠かせない存在になる(依存させる)ことって、その人を支配すると同義なんだなと思った。やはり依存先を分散させて自立した状態を確立することが大切。7つの習慣に書いてある通り、その自立を前提とした相互依存の関係を築きたい。2024/05/12
Kooheysan
2
2009年単行本→2012文庫化→2023文庫新装版。ほかの信田さんの本に出てくる「共依存」という言葉が、自分にはよくわからなかったのもあり、手に取った次第。「他者を依存させて支配関係(権力の存在する場)に持ち込む」ということだと思いますが、そのような現象をいろいろな例(カウンセリングの実例や映画など)を通じて、考えさせてくれます。2023/06/28
ぼのぼの
1
ケアは見方を変えれば有形力を伴わない支配(無力化・幼児化)である。その着眼点自体が自分には目から鱗だったが、親・子や健常者・病者のように、強者(左)・弱者(右)間の権力関係が根底に潜むことを踏まえると、ケアという名の支配関係が生ずるのはある意味必然といえる。熊谷先生が解説で言及されていた、“いい人なんだけど、なぜかその言動にイライラしてしまう人”に係る理由、すなわちケアの付与に伴う無自覚の支配(=ケア対象者に対し、ケアの独占的付与(第三者からのケア受容の禁止)を求める強要)はまさにそのとおりだと思う。2023/10/21