朝日文庫
軍隊マニュアルで読む日本近現代史―日本人はこうして戦場へ行った

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  • サイズ 文庫判/ページ数 240p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022620453
  • NDC分類 392.1
  • Cコード C0195

出版社内容情報

出征する兵士を激励する演説、兵士としての心構え、戦場へ送る手紙、戦死した遺族の慰め方まで。明治から太平洋戦争まで、日本人は戦争との付き合い方を「マニュアル」で学んでいた。日本人の戦争に対する建前と本音をマニュアルから探る。

内容説明

明治期以降、軍隊にまつわる「マニュアル」本が多数出版された。書かれた建前通りに行動することで、太平洋戦争にかけて、人々の戦争への本音はどう変化したか。戦争という未知の体験を日本人がどう受け入れてきたのかを、マニュアルから読み解く画期的な通史。

目次

第1章 軍隊「マニュアル」の出現―明治一〇年代~日清戦争期(徴兵令の通俗解説書;教科書による兵士教育 ほか)
第2章 発達・多様化する「マニュアル」―日露戦争期(英露に対する敵愾心の昂揚;「精神主義」のはじまり? ほか)
第3章 平和な時代の「マニュアル」―日露戦後~大正期(なぜロシアに勝てたのか?;「捕虜になるくらいなら死ね」 ほか)
第4章 どろ沼の戦争と「マニュアル」―日中・太平洋戦争期(日露戦争を継承した昭和の戦争に対する考え方;なぜアメリカと戦争をしなければならないのか ほか)

著者等紹介

一ノ瀬俊也[イチノセトシヤ]
1971年福岡県生まれ。歴史学者(専門は日本近現代史)。98年九州大学大学院比較社会文化研究科博士後期課程中退。博士(比較社会文化)。国立歴史民俗博物館助教などを経て、2016年より埼玉大学教養学部教授。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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nnpusnsn1945

45
戦前は軍隊マニュアル(処世術)が多く出ていたらしい。手紙の書き方からシゴキをやりすごす術まで網羅しているのはおもしろい。もちろん無意識下で体制に適応させる意図も含まれていることに注意しなければならない。軍隊明治から昭和まで時代ごとの色が現れている。大正期は軍の存在意義が揺れており、やや緩い箇所が見られた。日中戦争郷土では治安戦の実情が伺える一文もある。太平洋戦争の遺髪やツメの必要性が説かれていた。遺骨が収拾しきれていない証拠である。意外と建前のみならず、本音が時折混じっているようだ。2021/04/12

ルピナスさん

43
国を守るために取るべき行動は何か。軍隊に行く者も行かない者も、本音と建前の間で自らがどうあるべきか。軍隊マニュアルは、これを元に、人々が失言しないように納得して受容するように、様々な方向から思考の選択肢を除外し進むべき道を固めて行く。捕虜思想の否定、物質的戦力に対する精神力の優越という思考法、負傷した戦友の介護禁止、軍隊は人生学校など。これを読んでも幸せになんてなれないのに、兵士を死地へ送り出し、自らが裏切り者と炙りだされないように手に取ってしまう。他者を操作する恐ろしいマニュアルは現代にはないだろうか。2021/08/07

雲をみるひと

36
旧日本軍の入隊者や家族向けマニュアルの変遷を纏めた本。個人発行の書籍や軍の資料など出典は様々。日清戦争前から日中戦争期まで軍が一般市民にどのように見られていたかに加え、軍は往時の主要組織だったため世相がわかるというのも作者の指摘通りだと思う。大変参考になるのだが、戦前の文章が出自なので少し読み辛いのが難点か。2022/02/02

ヨーイチ

34
- [ ] 昭和31年生まれ、父親は大正14年生まれでギリギリ徴兵に引っかかっていた筈だ。小学校の時に他界しているので兵隊生活のことは聞いていない。「もっと聞いておけば」とは思うこともあるが、必ずしも有益な交流になる保証がある訳でもなく、現実は中々難しいと思う。日本の軍隊の映画、小説等を見て思う事があって、それは「当時の社会にあって、徴兵制度は普通に国民の義務であった」と言うことで、まぁ真面目で良き国民は真面目な兵隊さんになった訳で、そこで「戦争反対」とかはナンセンス以外の何者でも無い。続く2022/04/30

氷柱

4
984作目。7月4日から。日本の戦争時代の様子がうっすらとわかる作品。きちんとした資料ではなく、このような時代を反映している「証拠品」から読み解くというアプローチが面白い。但し内容は結構お固めでしっかりと読む姿勢を作った上で取り組む必要がある。好きが高じてこれだけの考察に辿り着いているというのは素直に素晴らしいことであると感じた。怖いものは怖いよね。2023/07/06

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