出版社内容情報
戦没学徒の遺稿集『きけわだつみのこえ』、この感動の書が改ざんされ、政治利用されたことはあまり知られていない。戦没学徒の叫びは、いかに踏みにじられたのか。戦後の反戦運動の行き過ぎた一面を描く、著者の隠れた名著。
内容説明
戦没学徒の遺稿集『きけわだつみのこえ』が、恣意的に改定され、政治的プロパガンダの道具にされていたことはあまり知られていない。削られた言葉にこめられた戦没学徒の懊悩とは?我々はそこから何を読み取るべきなのか。著者の隠れた名著。
目次
序章 戦没学徒と私
第1章 『きけわだつみのこえ』の誕生
第2章 バイブルへの道
第3章 倒された「わだつみ像」
第4章 「反天皇制」の中で
第5章 戦没学徒の「戦争責任」
第6章 追放された遺族
第7章 わだつみ学徒、五十年後の「死」
終章 次代にとっての「わだつみ」
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年北海道生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。ノンフィクション作家、評論家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。独力で『昭和史講座』の刊行を続け、2004年、第52回菊池寛賞受賞。2017年、『ナショナリズムの昭和』で第30回和辻哲郎文化賞受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
31
遺稿集にイデオロギーを入れて、編集部が手を加えるのは、外国文献の訳者が恣意的に内容に手を加える(わが闘争や岩波版紫禁城の黄昏等)のと同様な卑劣の行為であると感じます。また戦没学徒の戦争犯罪を一部のわだつみ会員が主張している話もそもそも論として異常と感じました。2025/03/14
かふ
19
そもそも本の題名を歌人が付けたもので古語の海の神(天皇の下で藻屑)になるという意味なのだった。そのときに死者を神と崇めるか藻屑となった事実を受け止めるかの違いなのかもしれない。最初に渡辺一夫のまえがきがあり、当時、右翼的な声も収めるべきという意見があったが反戦ということで手記を統一したいという思惑があった。ちょうど発表される前後に朝鮮戦争があってGHQの方針も民主的国家の樹立からレッドパージに変わっていく時期だったので、そのような政治的内紛が起きたのだろか?と読んでいた。2025/06/26
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