出版社内容情報
「基地賛成派の意見を封殺している」「事実をねじ曲げている」──。ネットや保守論壇から批判されることの多い沖縄の新聞報道。そうした批判に地元紙の記者は、どう答えるのか。最新の動向も加筆し、「沖縄バッシング」の実情に追る。解説:望月衣塑子。
内容説明
保守系論壇やネット言論、または政治家からも「偏っている」との批判が絶えない沖縄の新聞報道。「琉球新報」「沖縄タイムス」の記者たちを直接取材することで浮かび上がってきたのは、米軍基地をめぐる沖縄の現実と、「本土」との圧倒的な温度差だった。
目次
第1章 沖縄に向けられる差別の視線
第2章 捨て石にされ、主権を奪われ続ける島
第3章 沖縄と地元紙がたどった軌跡
第4章 ないがしろにされる自己決定権
第5章 「キチタン」記者と権力との攻防
第6章 地元保守による新報・タイムス批判
第7章 歴史の視座から見る陥穽の正体
様々な現実と向き合って
著者等紹介
安田浩一[ヤスダコウイチ]
1964年静岡県生まれ。「週刊宝石」「サンデー毎日」記者を経て2001年からフリーに。事件、労働問題などを中心に取材・執筆活動を続ける。12年『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』で第34回講談社ノンフィクション賞受賞。15年「ルポ 外国人『隷属』労働者」(「G2」vol.17掲載)で第46回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Satoshi
14
ベストセラー作家である百田尚樹に「つぶすべき」とされた沖縄2紙。その2紙の新聞記者を取材することにより、彼らの報道姿勢と沖縄の現実を我々本土の人々に知らしめてくれる良書。事故や犯罪が多発し、爆音でジェット機が飛び立つ基地が島内に点在するのは明らかな負担なのに、基地により成り立つ沖縄というプロパガンダを垂れ流す文化人はただの権力の犬のように見えてしまう。2024/01/11
二人娘の父
5
奇しくも本日の沖縄タイムスでは、ハーバード大教授がひどい論文を発表し「沖縄差別」を公然と行っていることが報じられている。悲観的に見ればこうした事象すら「偏向報道」と断じられるのだろう。この社会には、事実に基づかない誹謗と中傷、偏見と差別が横行する。しかし沖縄に対するそれは次元を超えた異常さを感じる。その根源に何があるのかを「偏向」と見なす側にも取材をし、その根底に迫る著者の姿勢に学びたい。タイムスと新報両紙に共通するのは現在40代のいわば「1995世代」とも言える記者たちの奮闘だ。同世代として共感した。2021/02/27
のら
3
(本土側からは)安保政策として語られることの多い沖縄県の米軍基地問題。沖縄の人々にとっては「人権問題」に他ならないことがよく分かる。人権を訴える沖縄に対して発せられる蔑みの言葉との対比が凄まじい。特に印象深かったのは沖縄は安保の中で生活をしているという部分。基地があるから目的地まで行くのに道を大きく迂回する必要がある。そのためにガソリン代が多くかかると。生活空間の中に基地があるとはそういうことだよなぁ…と目から鱗が落ちた。2021/08/11
ftoku
2
沖縄2紙の新聞記者の目線を追いながら、沖縄の動向を振り返るルポ。いまだにウェブではヘイトの人々がいて辟易するが、この頃に沖縄で目立ってたネトウヨの人たちはその後に仲違いとかしはじめたせいかウェブで見かける機会が最近減った気がする。2022/05/16
mikoto_oji
1
沖縄で仕事をする機会が増えて沖縄を学ぶようになりました。沖縄の外から見る沖縄問題と、沖縄で体感することにギャップを感じたからです。沖縄の新聞は、沖縄の立場で沖縄を語っているのだから当たり前のことをしているのではないでしょうか。むしろ、何の主張もない全国紙の方が、公平性という幻想の偏向しているようにしか思えません。それが無意識の差別を助長しているようにも思えます。2021/04/28
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