出版社内容情報
【文学/日本文学評論随筆その他】二代目襲名から50年、2011年には人間国宝にも認定された歌舞伎界の大御所、中村吉右衛門。その生い立ち秘話や思春期の葛藤、恋愛、結婚、東宝入りと松竹復帰など、波乱に満ちた半生を描く魂の実録。単行本に大幅加筆した決定愛蔵版。
小玉祥子[コダマショウコ]
内容説明
二代目中村吉右衛門襲名から50年、2011年に人間国宝に認定された歌舞伎界の大御所。誕生時の秘話や思春期の葛藤、恋愛、結婚、東宝入りと松竹復帰など、波乱の半生を語った魂の実録。09年の単行本に大幅加筆、本人による序文、詳細な年譜も収録した決定愛蔵版。
目次
1(誕生;初舞台;名優の死;長兵衛と長松;初代との別れ)
2(立役と女方;新劇とスクリーン;自主公演;萬之助と辰次郎と;東宝入り;進路;恋と苦衷;ばあばあの死)
3(襲名発表;三大女優との共演;心中天網島;熊谷陣屋;木の芽会;東宝離脱;結婚)
4(菊五郎劇団;声;歌右衛門;弱点;白鸚;こんぴら歌舞伎;実母;長谷川平蔵;海外公演;継承;松貫四;俊寛;四姉妹;歌舞伎座;娘の結婚;秀山祭)
著者等紹介
小玉祥子[コダマショウコ]
1960年東京都生まれ。毎日新聞社学芸部編集委員。1985年に毎日新聞社に入社し、96年より学芸部で演劇を担当。2001年度NHK教育テレビ「日本の伝統芸能・歌舞伎鑑賞入門」の講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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Kohn
7
歌舞伎を見始めてから、吉右衛門さんの立ち役の迫力に魅了されてしまいました。 そんな吉右衛門さんの経歴を小玉さんが丁寧に調査、ご本人へ聞き取りされて纏められた書籍となります。文庫本化にあたり、最新のお子さんのご結婚の逸話なども挿入されています。 吉右衛門さんの本当の魅力は近松門左衛門作『平家女護島』一段の『俊寛』のような作品で見せてくれるる人間の弱さ、他人から傷つけられた時の身の置きようのない恥ずかしさ悔しさ、悲しみ、転じて狂気。そんな人の業を表現し、そしてまた感動を与えてくれるところだと思います。 2017/03/10
しびぞう
5
僭越ながら素晴らしい書き手だと思った。あとがきに差し掛かるまで筆者の存在をすっかり忘れて没頭して読んでいた。新聞で1年に渡った連載を再編したものに更に加筆したものだからボリュームは凄まじく、思った以上に時間はかかったが読了後の清々しさが凄まじい。吉右衛門の人柄もあるだろうが、それを増幅しつつこれほどにコンパクトに収めた筆者の力量に惜しみない賛嘆を送りたい。2017/02/01
はかせ
2
播磨屋初代よりエピソードが満載。すこし残念ですがあまりコメントが少なかったことか。聞き書きではありますがもうすこしあってほしかった。鬼平についてもすこししかなくTV弁慶もとりあげてほしかった。2017/03/03
みつひめ
1
文庫化にあたって単行本以後のことも増補されているので、二代目追善の秀山祭の前に読んだ。東宝から吉右衛門さんが先に一人で戻って、松緑じいちゃんの菊五郎劇団の芝居に出ていたのは、知らなかった。八代目幸四郎の実子で初代吉右衛門の孫で養子なのだから、順風満帆と思い勝ちだが、お若い頃は随分苦労もされたのだな。でも苦労したからこそ、大きな華が開いたのだろう。それにしても、妹背山の山の段なんて、今後誰が演れるだろう…。伊賀越の岡崎とか…。2022/08/24
kinta
0
この著者の論評は悪口を言わず、褒め上げる。 物足りない時もあるものの、これはこれで貫き通す姿勢は、実は難しいことをやっているような感覚を読みながら感じた。 自分がやらないことについての基盤にあるリスペクト。 論評はともすれば、独りよがりの上から目線になることもあるが、それを常に廃する意識が強いように感じた。 2017/06/19