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朝日文庫
袴田事件を裁いた男―無罪を確信しながら死刑判決文を書いた元判事の転落と再生の四十六年

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  • サイズ 文庫判/ページ数 322p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022617996
  • NDC分類 326.23
  • Cコード C0136

出版社内容情報

【社会科学/社会】袴田事件の裁判官だった熊本典道は、無罪を確信しながら死刑判決文を書くが、罪の意識に苦しみ、裁判官も辞め、酒で体を壊し、離婚を重ね、自殺も試みる。罪を背負った裁判官の半生に迫る一方で、冤罪の過程を克明に記す本格ノンフィクション!

内容説明

当時29歳だった熊本典道は「こんな証拠で有罪は無茶だ」と異を唱えた、たった一人の裁判官だ。だが多数決で負け、心にもない死刑判決文を書くはめになる。罪の意識に苦しんだ熊本は職を辞し、酒に溺れ、家族を失った。彼が背負った十字架とは何だったのか。

目次

1 接触
2 疑惑
3 悲劇
4 背信
5 天使
6 子供
7 旧友
8 再生
9 四年後―あとがきに代えて

著者等紹介

尾形誠規[オガタセイキ]
1959年兵庫県生まれ。編集者。法政大学卒業後、様々な雑誌の編集部を経て98年、仲間数名と鉄人社を設立。月刊誌「裏モノJAPAN」を立ち上げ10年間編集長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

らむり

45
冤罪王国・静岡で、袴田事件一審を裁いた裁判官。無実を確信しながら死刑判決を出した男の泥まみれ人生のルポです。結構有名な方だったんですね。私はこの本を読んで初めて知りました。1/3が無罪を主張しているのに多数決で死刑って・・・。袴田さんのお姉さんと島内さんがいい人でちょっと救われた感じです。2014/07/15

おさむ

35
先日、亡くなられた元弁護士の熊本さんの評伝。袴田事件で無罪と知りながら死刑判決を第一審で書いた元裁判官。判決を書いた後、退官して弁護士になったが、袴田事件のことを終生、悔やんでいた。このため、心を病み、酒に溺れ、離婚も繰り返して晩年は生活保護も受けていたという波瀾万丈の人生。編集者である著者は、本人だけでなく、家族や司法修習同期生ら複数の関係者に取材を重ねて、「美談」の裏側にある「人間の業」を見事にあぶり出す。所詮裁判官も人間。ドラマチック過ぎない書きぶりに好感が持てました。今年のベスト10に入る良書です2020/11/30

James Hayashi

32
袴田事件の死刑判決文を書いた元主任裁判官をクローズアップしたもの。頭脳は切れ、司法試験トップで合格。しかし判定は自分の意図したものでなく、袴田氏を48年間牢獄へつなぐことになった。その心労のためか熊本氏もおちぶれていく。一人ではない。何人もの人生を狂わせた裁判。当時の検察官など生きておられたようだが、反省の言葉もない様だ。自分の仕事を全うするとの響きはいい。しかし幸不幸の境はどこにあるのだろう。警察、検察、裁判官はていたらくでなく意図的である。無罪が明らかなものを冤罪にでっち上げ。→2020/11/02

sasha

12
静岡地裁で袴田巌氏に死刑判決を下した3人の裁判官のひとり熊本典道氏。袴田氏の無罪を確信しながらも判決文を書く役目を背負い、その後、裁判官の職を辞し、約40年後に沈黙を破って再審請求に協力したした人。一私人となった熊本氏の過去をほじくり返す必要はあったのかと思う。退官後も守秘義務を負う元裁判官が声を上げたことだけで十分ではないかと思うんだ。取材対象に迫り切れていないのなら、もう少し書き方があったと思うのだが著者の感情ばかりが先走ってないか。江川紹子氏の解説の方がよかった。2017/12/10

ひねもすのたり

11
1966(昭41)年6月。清水市で一家4人が惨殺される。間もなく元ボクサーの袴田巌が逮捕されます。当初より冤罪の可能性が叫ばれますが1980(昭和55)年に上告が棄却され死刑が確定。事件発生から41年後の2007年。ある男が無罪を確信していたと衝撃的な告白をします。男の名は熊本典道。一審で死刑判決を下した主任裁判官です。 本書は熊本が告白に至るまでの経緯とその人間性に迫るノンフィクション。 踏み込み過ぎた取材方法に反感を抱く箇所もありましたが、人を裁くとはどういうことなのかを考えさせられます。★4 ちな↓2021/05/26

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