出版社内容情報
「死んでもあなたを許さない」。死んでも嘘をつかざるをえなかった死体の寂しさとは。元東京都監察医務院長として2万体の死体を検視してきた著者が、幸せな死体と不幸せな死体である事件の違いについてつづった感動のノンフィクション。
内容説明
「死んでもあなたを許さない」。最後まで嘘をつかざるをえなかった死体の寂しさとは何か。元東京都監察医務院長として2万体の死体を検死してきた著者が、“幸せな死体”と“不幸せな死体”―その事件の違いについて綴り、幸せの形に言及した感動のノンフィクション。
目次
1章 悲しい嘘をつく死体
2章 死因がようやくわかった
3章 死体は最後に何を語るか
4章 信頼されるべき医者の裏切り
5章 モラルなき殺人の顛末
6章 とても切ない死に方
著者等紹介
上野正彦[ウエノマサヒコ]
1929年茨城県生まれ。医学博士、元東京都監察医務院長。東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室に入る。59年東京都監察医務院監察医となり、84年同院長となる。89年の退官後に出版した『死体は語る』は65万部を超える大ベストセラーとなった。現在は、法医学評論家としてテレビ・雑誌などで活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そる
375
サラサラと読めるが内容は深い。昔は怨恨など理由のわかる殺人が多かったが、最近は「誰でもよかった」「通り魔」など動機不明の殺人が増えてきている。それは「人間関係が希薄」だと作者は言う。確かに。仲良くしてたのに裏切ったり、された方も自分の悪い所省みず「裏切られた!」と思い込む。それだと心痛いから初めから希薄でいい⋯。原因は⋯1人でできる便利アイテムや娯楽が増えたこと?「死体がいいことをしたらそういうべきだし、よからぬことを企てていたら、それもまた伝えるべきなのだ。死者の人権はそうやって守られるべきものだ。」2021/02/13
yumiko
71
長く東京都の監察医務院長を務められた上野先生によるエッセイ。 以前はよく親しんでいたけれど、久しくご無沙汰していた。 愛のため、また憎しみのために、死して尚嘘をつこうとする遺体。 嘘をつく遺体を前に監察医としての職務を遂行することは、時に死者の思いに反する結論を出すこともある。 でもどの命にも敬意を持ち、平等に相対することが監察医の本分なのだと、著者の姿勢は語る。 多くの遺体と向き合ってこられた上野先生だからこその「生きるとは何か、人を愛するとは何か」。2018/10/23
kinupon
68
上野さんの視点は鋭いですね。覆いもよらなかったところから事件は解決していきます。2018/08/19
鈴
38
監察医の書いた経験談となると、読んだことがあるなと思ったら、以前も同じ著者の本を読んでいた。知らないことも多く、簡単には監察医を欺くことはできないのだなと思った。夫婦が同じ事故で亡くなっても、どちらが先に亡くなったかのタイミングで、その後の遺産相続にまで影響してくるのが驚きだった。(現在は、同じ事故で亡くなった場合は同時に亡くなったことにしているらしいが)2016/10/28
モモ
35
高所からの落下で、覚悟の自殺と事故死では落ち方が違うというのが何とも。死体は嘘をつけない。今回も色々な話に考えさせられたが、監察医制度が東京・横浜・名古屋・大阪・神戸の五大都市にしかない制度というのが驚き。他の地域はどうなるんだろう…。全ての都道府県にないと恐い。2024/12/23