内容説明
石油、レアメタルなど豊富な資源の眠るアフリカ大陸。急成長の裏で、経済格差は拡大し暴力の嵐が止まない。それは一体何故か?武装勢力や人身売買組織の首謀者インタビュー、内戦中のスーダン密入国など危険も顧みず敢行した取材による傑作ルポルタージュ。
目次
序章 資源大陸で吹き上がる暴力
第1章 格差が生み出す治安の崩壊―南アフリカ共和国、モザンビーク共和国
第2章 「油上の楼閣」から染み出す組織犯罪―ナイジェリア連邦共和国
第3章 「火薬庫」となった資源国―コンゴ民主共和国
第4章 グローバリズムが支える出口なき紛争―スーダン共和国
第5章 世界の「脅威」となった無政府国家―ソマリア民主共和国
終章 命の価値を問う―南アフリカの病院から
著者等紹介
白戸圭一[シラトケイイチ]
1970年埼玉県生まれ。新聞記者。立命館大学国際関係学部卒。同大学大学院国際関係研究科修士課程でアフリカ政治研究を専攻。毎日新聞社入社後、鹿児島支局、福岡総局(現西部本社報道部)、外信部を経て2004~08年、南アフリカ・ヨハネスブルク特派員。政治部、外信部を経て2011年4月からワシントン特派員。2010年、『ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄』で日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たぬきごんべい
23
アフリカの闇の部分を体を張ってえぐり出して書いてくれてる渾身のルポ。何度も危険な目にあいながら記者魂を発揮しダークなアフリカをレポしてくれてます。コンゴだけで日本の8倍の国土があるなんて、 どんなけ広んだアフリカは。殺人も日常茶飯時すぎてニュースにもならない。 無政府状態のソマリアは殺人をおかしても裁く法律すらない。この本が好きな方は切り口がちょっと違う「謎の独立国家ソマリランド」もおすすめです。★4.0 2017/09/29
スー
19
なぜ暴力、人身売買、麻薬、強姦、虐殺、内戦が無くならないのかを南アフリカ、モザンビーク、ナイジェリア、コンゴ、スーダン、ソマリアに行き難民、人身売買業者、麻薬の運び屋、窃盗団、反政府組織にインタビューをして、その原因を取材しています。収入の格差が酷く犯罪に手を染めなければお金を手にできない、国の腐敗が酷く正義が無く金が力、部族が複雑で国をまたいで生活してる為に隣国の問題が実国の問題になってしまう、資源を求め外国の会社が土地を荒らし生活が破綻、混乱が生じると海外から支援を貰える等が主な理由。2018/05/06
あび
16
南アの暴力と格差の世界は凄まじかった。ただ、無政府状態のソマリアはうまく経済が回っているという現状は実に面白い。2017/06/04
まーこ
14
ネットでアフリカ都市画像を眺める中、インフラ整備されたあまりの近代化ぶりに驚きました。本書でアフリカの現状を知り、不勉強を反省しています。心に留まったのはモザンビークのアルミ精錬事業モザール社の社会貢献です。かつて世界最貧国とされた国で日本企業や諸外国の援助を受けオーストラリアから原料を輸入し、南アから電力を安く買い、自国にアルミ産業を取り入れ国の発展に貢献しています。雇用に始まり衛生、教育、スポーツ振興他とその貢献は多岐にわたります。子供の死亡率も減少傾向にあり、経済がもたらす影響はとても大きいです。2017/01/29
NY
7
外国人がもたらすカネ、モノ、権益にしっかり結びついたごく僅かな階層、彼らに雇われる一部の階層、そのどちらにも入れない多くの人たち、そして色々な経緯で国を出てチャンスを掴むか、あるいは異国でも苦労し続ける移民。いずれにせよアフリカの故郷にとどまる限り明るい未来は描きにくく、国を出ても豊かになれる保証はない。外国のカネ頼み。アフリカで存在感を発揮するにはカネ欲しさに付け入る必要があるが、日本は色々な意味であからさまなことはできない。これから日本はアフリカにどう関わるか。時間だけが過ぎ、迷いは深まるばかりだ。2018/06/23