内容説明
2002年9月の小泉訪朝で、重要な役割を演じた北朝鮮の「ミスターX」とは何者だったのか。朝鮮半島「核危機」をめぐる六者協議の舞台裏で、各国が繰り広げた複雑な駆け引きを、多数の要人へのインタビューにより解明し、現代史の闇に迫ったノンフィクション大作。
目次
第1章 小泉訪朝
第2章 小泉再訪朝
第3章 ケリー訪朝
第4章 「枠組み合意」崩壊
第5章 ロシュコフ訪朝
第6章 林東源訪朝
著者等紹介
船橋洋一[フナバシヨウイチ]
1944年北京生まれ。元朝日新聞社主筆。同北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長などを歴任。この間の報道、執筆で、ボーン・上田賞、石橋湛山賞、日本記者クラブ賞などを受賞。2011年9月から慶應義塾大学特別招聘教授。著書に、『内部―ある中国報告』(サントリー学芸賞)、『通貨烈烈』(吉野作造賞)、『同盟漂流』(新潮学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
7
前半は小泉政権下での日朝平壌宣言に至る話(主に拉致問題)。後半から北朝鮮の濃縮ウラン計画発覚~核問題に話が移る。拉致被害者の一時帰国に関して、当時の福田官房長官は一時帰国を主張し、安倍官房副長官は反対の立場を取る。結果としては返さない方針となった。このことが後の平壌宣言の破綻~北朝鮮の核保有につながる。小泉の決断力があって拉致被害者の帰国を成し得たのはまぎれもない。ただ小泉には明確なビジョンはなかった。一方、福田にはあった。北朝鮮の核保有という“代償”を見るに、返さないという判断は大きかったかもしれない。2016/02/08
Meistersinger
2
2002年以降の半島状況を関係各国(上巻では、日米露韓)の外交関係者の証言で追っていく。日本の場合、小泉が統制を保っていた感が強い(様々のコースはあれど最終的に小泉が決断して一本化というのは嘘ではない)。米国の場合、関与派・非関与派の対立で一本化しきれず。ブッシュの弱さか。ロシアは(予想通り)一番お気楽。しかし先日プーチンが発言したパイプライン構想は、この頃からあったのか。韓国は盧武鉉無敵が始まったが、金大中って、意外とまともだったのね。 2011/09/26
Masayuki Shimura
0
[思惑の交差点で]今年読んだ本の中で暫定1位の素晴らしさ。錯綜し、絡み合い、ときには衝突する各国の行動や言動を一つひとつ解きほぐし、その背景を構成する思惑や懸念を晒し出していく手腕は圧巻以外の何物でもありません。また、船橋氏がどの国の考え方をすくい取っていく際にも、しっかりとその国の内側から半島問題への姿勢を分析、評価している点がお見事。かといってただ硬い読み物かと言われると決してそうではなく、ノンフィクションとして抜群に面白い点も見逃せません。2015/10/12
show0425
0
歴史の勉強12018/02/11