内容説明
「文章を書くのは難しい」「はがき一枚にも苦労する」―そんな“書けない”人の悩みや疑問を、芥川賞作家がすっきり解決します!夏目漱石や山下清、森茉莉、赤瀬川原平、橋本治などの例文を豊富に引用し、文章の書き方から楽しみ方まで教えてくれる、面白くて絶対役に立つ文章読本。
目次
1 基本篇
2 実践篇(テーマ;構成;導入部;地の文;セリフ;描写;タイトル;推敲;思考の圧縮)
3 質問篇
4 独習篇
5 鑑賞篇
著者等紹介
村田喜代子[ムラタキヨコ]
1945年福岡県生まれ。1985年、自身のタイプ印刷による個人誌「発表」を創刊。87年『鍋の中』で芥川賞、90年『白い山』で女流文学賞、92年『真夜中の自転車』で平林たい子賞、97年『蟹女』で紫式部文学賞、98年『望潮』で川端康成文学賞、99年『龍秘御天歌』で芸術選奨文部大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tomi
43
文章を書くことに苦手意識がある人のための、実践的な文章読本。古今の名文を引き、時にカルチャースクールの生徒の文章を添削しながらの解説はわかりやすい。書くに値するものとは読むに値するもの。そしてその条件をこう書く。「一、誰もが心に思っている事柄を、再認識させ共感させる。二、誰もが知りながら心で見過ごしている事柄を、改めて再認識し実感させる。三、人に知られていない事柄を書き表して、そこに意味を発見し光を当てる。 2021/04/02
たかやん
22
エッセイに限らず何かしら文章を書くときには参考にも励みにもなりそうだ。「文章を書くことは、もしかすると自分の内に隠れている一番自分らしい、自然でのびのびした良い姿を掘り出す作業かもしれない」といった金言がゴロゴロ転がっていて、まるでゴールドラッシュの砂金取りみたいな心境でページを繰ってしまいます。ただ、推敲の章にて友達に文章を読んで聞かせることを推奨する際に「わずか10分ほどの原稿につきあってくれる友人もいないとしたら、自分の生活を見直すことが先決かもしれない」とあまりに辛辣すぎて笑えない…2019/03/14
パブロ
8
かゆいところもちゃんとかいてくれる至れり尽くせりの文章読本。これを読んで「小説が書きたい」とは思わないけど、「私でも軽いものなら書けるかも」と思わせてくれます。出だしの表現、句読点の位置、会話文について、たくさんの文例とそれをことごとく分解する解説に、「ほほぅ〜、違った視点で描くのか」とか「そっか主観が大切なのね」と感心しきり。大切なのは名文じゃなく、一人の人間としての目であること。凡百の文章テクニックを読むなんてムダ! これ一冊ですべて事足りるスゲ〜本です。2012/04/25
睡
6
さらりと、すっぱりと、軽やかだけれど厳然と書かれた文章指南書。けっして難しくはないものの、読み飛ばすことは許さない密度の濃い文体で説かれたあれこれは、年代を問わず今日からすぐに実践できることばかりだった。書く人にも書かない人にも(だって話すのも表現ですものね、と受け売り)おすすめ。著者の作品はほとんど読んだことがないが、そのものの見方と語り口には興味を覚えた。2011/06/02
aoisky
5
引用された例文とその解説が素晴らしい。趣味で小説を書いている人間は、数作を書き終え下手に技術が身に着くと、しゃれた表現やかっこいいセリフ回し、いわゆる「名文」を書こうということにとらわれる。結果、名文をかけず、さらには数作書いているものだから一作分となるネタも不足していて、けれども変にテクニックがあるものだから、字面だけはそれなりの、読んでみればスッカスカの張りぼてのような作品が出来上がる。そうやってスランプとなり、書くことをやめてしまう。そんな人間はこの本を読んでみるとよろし。2011/09/18