内容説明
オーストリア皇帝に見初められたバイエルンの美少女は、一転、華麗なる宮廷世界の住人となった。しかし、そのしなやかで鋭敏な感性が宮廷との確執を生む。ハプスブルク家の美神・エリザベートの波瀾万丈の生涯を、膨大な資料と証言をもとに鮮やかに描き出した傑作伝記、ついに文庫化。
目次
第1章 バート・イシュルでの婚約
第2章 ウィーンの婚礼
第3章 新婚生活
第4章 逃亡
第5章 美容崇拝
第6章 ハンガリー
第7章 国家を代表するという重荷
著者等紹介
ハーマン,ブリギッテ[ハーマン,ブリギッテ][Hamann,Brigitte]
1940年、ドイツ・エッセン生まれ。ミュンスター大学とウィーン大学で歴史学とゲルマン学を学び、博士号を取得。編集者などを経て著作活動に入り、1978年、『皇太子ルードルフ―マイヤーリングへの道』を発表、一躍注目を浴びる。世紀末ウィーン・ハプスブルク帝国研究の第一人者として定評を得ている
中村康之[ナカムラヤスユキ]
1963年生まれ。金沢大学文学部卒。ドイツ語翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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noémi
6
ハプスブルグの美神として有名なエリーザベトは、驚いたことにはじめから美しいわけではなかった。14.5歳の頃には一度縁談を断られたこともある。しかしそれは彼女が自分の中にある「美」に気付いていなかったからで、周囲の無理解の中に生じた深い深い絶望の淵に追いやられた末、彼女はようやく気付く。美は「戦力」として使えると。子供のように扱っていた皇帝でさえも、いまや近づきがたいほどの威厳に満ち、女神のような皇妃の前には、跪くしかなかった。こうしてオーストリアはハンガリーとの二重帝国が形成されて行く。2010/12/05
na030ko
1
ミュージカル・エリザベートの観劇のために購入。本書を基に劇構想が練られたとあとがきで知り納得。劇中の歌詞やセリフの意味の理解が深まった。上巻はエリザベートの少女時代〜壮年期までを辿る。美貌の皇妃が内気で恥ずかしがり屋だったとは意外だし、その割には突拍子もない振る舞いをする姿に矛盾も感じる。たぶん、あまりにも繊細で内向的な少女が、いちばん多感な時期に、その性質とは正反対の振る舞いが求められる場で生活しなければならなかったことが、彼女のその後の人生を決定的なものにしたんだろう。
酒井一途
1
著者は世紀末ウィーンハプスブルク帝国研究の第一人者。エリザベートに関する本は様々出ているが、おそらくこの本が一番詳細な伝記として書かれている。これまで大雑把に知るだけであった彼女の生き様が鮮明に見えるようになった。2013/01/11
ニポポ
0
大好きなエリザベートの本!内容も濃くて上巻の途中からもうそろそろ終わりなんじゃないのかな~なんて思いながら読んでいたのだけど…出るわ出るわ…エピソードもてんこ盛り♪著者が向こうの方なので、日本人には少し難しいところも多いのですが、読みごたえあり!ますますエリザベートに興味がわきました!ヴィテルスバッハの家系のことも知りたくなりました(^-^)v2013/01/12
nagisa28
0
民俗学とか文化人類学の系統は好きだけど、歴史には疎いながら読みました。感受性が強くて内気なエリザベートは、敬虔で政治に敏腕なゾフィーとはあまりに対照的だと感じました。ウィーン行く前に読んでたら絶対シェーンブルン行きたくなってただろうな。2012/11/10