内容説明
内外で話題を集めるオウム真理教事件。1990年、熊本・波野村への突然の教団進出をきっかけに、地元紙・熊本日日新聞の取材が始まった。「都市文明を捨てた若者」と「都市文明に捨てられつつある村民」はどのように対立したのか。教団道場ルポ、麻原インタビューなどの貴重な証言をもとに検証する。
目次
第1部 波野道場
第2部 過疎の村の不安
第3部 出家と家族
第4部 法と人権
第5部 オウム真理教問題への視角
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hitotoseno
7
今まで読んだオウム関連の本で一番面白かった。2020年の現在手に取れるのは一連のオウム事件を踏まえた上で書かれたものばかりである。なぜあんなことをしてしまったのか、と批判するにせよ、いやしくも信者には人権があるのだから尊重せよ、と擁護するにせよ、それらの本は大体つまらない。というのも、そうした論考のほとんどは結論ありきで書いているからだ。賛否どちらに傾くにせよ、正しい結論から始まって書かれている本は全てつまらない。その点この本はサリン事件以前に書かれただけあって、結論の定まらなさとしっかり向き合っている。2020/11/18
CCC
5
宗教に胡乱なイメージを持つ日本人がなぜ多いか、その理由の一端が伺える気がする。元来の伝統的下地と、地下鉄サリンの衝撃が強かったと思っていたけれど、多分それだけじゃない。この本での評論家は、オウムへの拒絶から日本人の閉塞性を読み取り、しかし宗教とはこういうものだから、上手く折り合いを付けていくべきだ、とそう説く。そういう識者は他にも多かったはずだ。そしてその話を聞いていた人は思っただろう。なるほど、宗教は『こういうもの』なのか……? 記者の取材は冷静で、生生しい部分も見られ、実情を捉えられていたと思います。2016/06/21
yu01
3
90年熊本県波野村進出を中心に、わりと客観的にオウムを探っている。信者と家族への地道なインタビューが興味深い。新・新宗教ブームはこの時代の若者に必須だったとして、他の団体とオウムを隔てたものは?教祖または幹部だけの問題?その他1400人の出家信者、15000人の在家信者は、オウムに入ったことを非難されるべき?オウム真理教=犯罪集団だけでは分からないことが多いので、サリン事件前のこの取材は貴重だと思う。2012/05/31
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