内容説明
植民地支配の後遺症は、一朝一夕になくなるものではない。日本と朝鮮、日本人と在日韓国・朝鮮人との関係を考えるとき、常にこのことが原点として存在する。植民地時代を生きた朝鮮近代史の泰斗が、冷静にその生活実感を文献で裏づけ、問題を整理しながら、新しい隣国関係への教訓をさぐる。
目次
序章 近代日朝関係の原点
第2章 「併合」後の武断政治と三・一運動
第3章 1920年代の「文化政治」と光州学生運動
第4章 15年戦争下の朝鮮と皇民化=同化政策
第5章 国内外における民族開放運動
第6章 在日朝鮮人の形成とその運動
終章 新しい隣国関係をめざして
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒナコ
2
カルチャーセンターでの講演録が文庫化されたもの。 日本帝国による朝鮮半島支配を、武断政治期、文化政治期、皇民化=同化政策期と三段階に分けて整理されている。 それぞれの時期に、朝鮮半島、満州地方、日本、ソ連での反植民地支配運動が紹介されており、日本帝国の支配体制との対応が書かれているので、非常にわかりやすかった。 儒教思想、キリスト教思想、民族主義、社会主義など時に矛盾を含む諸思想が、反帝国主義の文脈で活用され、法的・身体的・軍事的支配の最中の人たちの精神的独立をかけた戦いの一端が記されていた。2019/03/11
うしろや
1
約40年前のカルチャーセンター講座をまとめたもの。 今頃になってこういう本を読むというのは遅すぎるか。 当時よりも今の方がはるかに差別本が本屋に並んでる。 ネットの中には差別がはびこってる。 40年前だって当然差別はあったが、ここまで公然と、 気軽に差別を語れる時代になるとは思ってなかった。 日本による支配がなければ少なくともこの民族差別は 生まれなかったはず。ざっくりと知るだけでも違う。2020/06/25