内容説明
アイヌ文化の精華を伝え民族の魂を守る男の自伝。
目次
わが二風谷
コタンの四季
和人の奴隷だった祖父
強制移住の果て
長期欠席児童
罪人にされた父
出稼ぎ少年の青春
あこがれの親方となって
先に死んだほうが幸せだ
知里真志保先生の教え
金田一京助先生との出会い
アイヌ資料館をつくる
アイヌ民族として
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
53
アイヌ人初の代議士となった著者が、議員になる前に著した半生記。言語学者金田一京助や知里真志保との交流が描かれる後半部も興味深いが、真骨頂は生まれ育ったアイヌ人の村・二風谷での幼少から青年にかけての暮らしだろう。大正15年生まれだから、それはよくある戦前の貧しい山村暮らし。シャモ(和人)から奴隷的に扱われるが、民族差別というより経済的抑圧で、和人の教師や警官との暖かい交流が際立つ。特筆すべきは、祖母や両親から教わるアイヌの神や狩猟、木こりの技術の教えが、思い出話としては異様なまでに細部が詳細なことである。2015/04/16
Take@磨穿鉄靴
45
アイヌの子孫である萱野茂氏の自伝的作品。特に何か使命を帯びてアイヌについての文化継承を考えたのではなく普通に生きていく上で自発的にそれを始めたのがすごい。生活力のある萱野茂氏ならそちらの方にいかなければもっと楽に満たされただろうと凡人は思うけどそうではない。自分の民族が滅びゆく中でそれでも自分をその子孫である旗をかざすのは相当しんどかったはずである。アイヌについても無知なら我が民族についての知識も相当希薄な自分を少し恥ずかしく思う。日本をもっと元気にしていきたいね。★★★☆☆2020/08/03
piro
44
アイヌとして生まれ、アイヌ民族の文化、とりわけ言語の伝承に尽力された著者の自伝的一冊。久しぶりの再読で内容はほぼ忘れていたので(笑)、読み直して良かった。自然と共生し平和的に暮らしていたアイヌ民族。その土地を奪い、文化を奪い、言葉までも奪った明治以降の同化政策について、私達はきちんと学び、反省すべきだと痛感。『熱源』でも感じた民族のアイデンティティの大切さを改めて感じました。それと共に、自然に対し畏敬の念をもって接し、共生していくものと捉えていた彼らの価値観からは多くのことを学べるのではと思いました。2022/09/19
蛸墨雄
7
北海道旅行に行きたくなりました。 本当に、アイヌのこと今まで知らなさすぎた。誰からも教わらなかったし、学ぶ機会すらなかったどころか、アイヌにふれる折すらなかった。これは僕の勉強不足なのか?アンテナ低いのか?それにしても作者のひたすらさに心打たれた。アイヌのことを後世に残すための凄まじい努力と投資、ぜひ博物館を訪れたい。2020/04/18
kumabook
6
いまから40年前にかかれたこの本と偶然古本屋で出会えたことを嬉しく思う。2020/04/26