内容説明
人間関係が複雑にからみ合う現代では、日常生活の中で親と子、夫と妻の間でさえも断絶や感情のもつれなどから多くの悩みがあり、精神科医に“こころ”の内の悩みを訴えに訪れる。診察室に救いを求めてくる老若男女の患者の話を聞き、心の奥の問題を分析し、また著者自身と家族の日常の関わりを通して、これからの親子、夫婦のありようを温かく静かに語る。
目次
1 精神科医の自己診断(蛙の子は蛙;わが心の中の教師像;「馬鹿人間」を求める―進路選び;愛と性の間;高校野球にみるわが家の郷土愛;滞米日本人夫婦にみる老後;生への欲望、死への欲望)
2 親父と息子の不器用な関係(ペット好きの系譜;親の転居、子の転校;おれたちは親子;心優しき男の単身赴任;男の顔は履歴書;親のしつけ、子のしつけ)
3 診断室からみた老・壮・青・幼(「胎児にも心がある」か?;ある自殺少年をめぐる家族模様;今どきの若い者;親子心中からみた日本人の心情;粗暴心のなりたち;無趣味人間・まじめ人間;ある老婆の嘆き;重症患者の心とつきあう)