内容説明
日中戦争が泥沼化し、重苦しい世相が続くなか、日本はついに太平洋戦争に突入していく。日米交渉の真相はどうだったのか。戦時下の指導層は、何を考え、どう行動したか。当事者のみが語りうる証言を収める貴重な記録。
目次
日米開戦前夜
戦時の財政
元老・重臣の動き
東条論
連合艦隊の功罪
言論弾圧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
6
新年初読了。証言、というのは面白い。それぞれがそれぞれの立場で話すので、時に無理が生じたり明らかに整合性が取れないことがあり、「歴史」の難しさ、面白さを考える絶好の素材となる。今回で言えば、加瀬俊一の証言が1番興味ぶかかった。ただし良い意味ではなく、加瀬の日米交渉失敗の責任転嫁が人間のエゴイズムを表している、という点。加瀬は自分と松岡洋右の責任に触れず、駐米大使野村吉三郎や井川忠雄、岩畔豪雄に交渉失敗の責任をほとんどおっかぶせている。ここに、人間の業の深さを見ることができる。2017/01/04