内容説明
江戸時代の身分制度に端を発する部落差別は現代社会になお根を張り、結婚や地域の付き合い、教育、就職など生活のあらゆる場面で、言いようのない悲しみと怒りを生みだしている。本書は長野県に散在する被差別部落に焦点をあて、15年にまたがる丹念な取材を通じて、生々しい差別の実態と人々の息づかいを伝え、部落解放を世に訴える。
目次
第1部 さまざまな差別(結婚;利害;地域)
第2部 「部落」で暮らして
第3部 いま同和教育は
第4部 それから15年
付録 年表・資料
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
7
著者は昨年中国で客死した朝日の元主筆。氏の20代のころのルポ(1973年・長野県)。この年になって初めて詳しい差別の実態を知ったようなもので、無知だったことが恥ずかしい。意図的に避けることは差別と同じ、重い指摘だ。2016/06/21
村山誓一
0
部落差別の存在は知っていたし、高校の日本史の時間に言及があったけれど(それと、高校で就職を希望する人向けに、面接で本籍地を尋ねる行為がどういう問題であるのかも)、今まで生きてきて部落差別に直に接したことはなかったと思っている。『破戒』は昔読んだけれど、本書のような具体的な部落差別の事例や分析を目にしたことはこれまでなかったと思う。こういった差別は多くの場所で今も続いているのだろうか。自分が余りに無自覚で、部落差別が周りにありながら気付いてこなかった、あるいは「寝た子を起こすな」で敢えて地域にある2020/11/08