内容説明
イギリス人は歩きながら考える、フランス人は考えた後で走り出す、そしてスペイン人は走ってしまった後で考える。では日本人は―。それぞれの国民の「ものの見方」「考え方」を、社会、経済、政治といった方面と結びつけながら解き明かし、その中から日本の学ぶべきものを鋭く指摘する。敗戦日本が生き方の指針を求めていた昭和25年に刊行、いまも読みつがれる古典的名著。
目次
イギリス(歩きながら考える;トレランスの根柢;均衡の世界;イギリスの「自由」)
ドイツ(二つの門;精巧なカメラ;トライチケ;ドイツの「自由」)
フランス(戦後のフランス;右へ左へ;擡頭する国民主義;共産党と労働組合)
日本(似て非なるもの;神話的な「全体」;生活と学問;教育の淵源)
附録 三つのデモクラシー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
40
以下は数冊リサイクル本です。1950年初出。1949年の夏、長野県や山形県の教育会などで話し、雑誌に書いたものを敷衍し、1本の話にしたもの。日本人には、一般的にいってまだ自分の考えが欠けている。何もしない空虚な感じがある(5頁)。自分の考えを持っていない日本人。今日まで、いつも出来合いの西洋の思想を貰ってきて、サシ根して育てようとした(6頁)。自省の書。イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走りだす。スペイン人は、走ってしまった後で考える(16頁)。2017/01/06
だてこ
9
昭和25年、敗戦5年後に刊行された本。イギリス人・ドイツ人・フランス人の考え方および政治のあり方について書かれており、最後に日本について考察と今後目指すべき方向性について述べられた本。イギリスの考え方は、最近出版された『論理的思考とは何か』にも通ずるものがあった。政治という観点からみると、イギリスの柔軟性が理想的なんだろう。日本について、土壌がないところに思想だけが入ってきてうまく結び付いていないという表現は分かりやすい。良し悪しというより、傾向を知るにはいい本だと思う。分かりやすくまとめてくれている。2025/10/13
みゆき
4
最初こそ英独仏日の国民性の本かと思ったが、筆者の知識や経験を踏まえた各国の(戦後の)政治論であった。昭和25年に刊行されたということで、当時日本の方向性を模索している様子が伝わって来るようで興味深かった。2016/01/16
concoction
3
イギリス、ドイツ、フランス、日本の、比較民族論といったところ。出版されて50年が経。著者は明治生まれ、東京商科大学(現一橋大学)卒、朝日新聞論説主幹、後顧問。全集も出ているよう。恥ずかしながら、この本にて知った。 様々な分野で各国の比較研究が進んでいる現代からすると、かなり乱暴なタイポロジーではあるが、そのダイナミックさが翻って現代の書籍ではできないところで、かなり面白い。大学生の頃、貪るように本を読みだしたのは、こういった本に出会ったことがきっかけだったことを思い出した。 2019/01/07
N
1
大学時代に読んでから20年以上振りに読んだけど、今読んでも為になる良い本だと思う。2017/03/01




