内容説明
激動のうねりのなかの昭和とは、一体どんな時代だったのか。なぜ、日本は太平洋戦争に入っていったのか。あの瞬間を生きた歴史の証人たちが、自己の貴重な体験をもとに「昭和」を鮮烈に語る。
目次
昭和史の読み方
昭和初期の日本経済
政党内閣とその終末
満州国の興亡
五・一五、二・二六事件
転向をめぐって
三国同盟
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
7
実際に歴史の現場に立ち会った人々による、「語る」昭和史。エコノミスト、軍人、新聞記者など語る立場や事柄は様々。文字通りもともとが講演として話されたものなので、とても読みやすく、面白い。また、冒頭の歴史学者・伊藤隆氏による解説は、本書だけでなく「証言」そのものに関する注意点になっており、歴史を学ぼうとする人は是非読んでもらいたい。個人的には、共産主義からの「転向」を語った鍋山貞親の話が特に面白かった。刑務所の中でかえって深い思索の時間を得て共産主義を深く反省し、「転向」声明を出すに至る過程はとても興味深い2016/12/24
こまったまこ
3
本書は昭和50年から1年間朝日カルチャーセンターで開催された「語りつぐ昭和史」という講座の講義記録である。講師陣は戦前から戦後にかけて各分野で活躍した当事者というかなり興味深い人選。単行本では7巻まであったと思うが文庫化にあたり選抜して3巻に収めている。この巻では昭和初期から15年くらいまでの出来事を経済、政治、軍部、言論などの視点から語っている。中でも元陸軍中将の有末精三氏の第一次三国同盟のイタリアから見た裏話が面白かった。また内閣書記官の横溝光暉氏の5.15事件と2.26事件の話も興味深かった。2016/04/25