感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のりたま
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角川ソフィア文庫で買い直したので手放す前に通読した。事項索引と語句索引あり。季氏第十六「君子の其の子を遠ざくる」、孔子と鯉でさえそうなのだから、普通の親子や兄弟で勉強を教えるのは難しい。陽貨を「松永弾正的な人物」、女学を「女歌舞伎八十人に、文れる馬三十駟をそえたもの」と言うのはもはやちょっと難しい。「マスコミの効果は、いつの世でもおそろしい」(109頁)は何かあったのだろうか。陽貨第十七に文学の尊重について述べた部分は、当時文学を否定する意見があったことを想像させて、現在大いに参考になる。2023/08/11
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)
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恐らく孔子延いてはその弟子は、己の心の内にある葛藤や至らなさを意識せずに常に正しい側であると思い込んでいる様な人間やその態度を、単なる悪人や愚か者以上に甚だしく嫌っていたのだろうと、郷原への批判や孔子や子貢の憎悪する人間観を見ても感じる。そういう己の善なるを疑わないちやほやされる偽善者をその善性に囚われた亡者と捉えたが為に『論語』は常に生きた会話を活写して単なる定義集や聖句にならないように配慮していたのだろうし、吉川曰くより教条的な下論でさえその配慮は潰えていない。永遠に生きるべき書はかくも人間的である2021/05/28
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- 和書
- 沈床