内容説明
日本の「学力不足」が問われて１０年。授業時間を増やし、全国学力テストを実施し、基礎学力の習得に取り組み、新しいカリキュラムを作成した。２００９年の国際学力調査ＰＩＳＡでは、学力低下に歯止めがかかったといわれるが、その実感は薄い。拡がる格差社会がもたらす歪みが学校教育に大きな影を落とし、教育の危機的状況は止まらない。新学習指導要領で解決がつくのだろうか。そもそも「学力」とは何だろう？ＰＩＳＡの上位を占め続けるフィンランドと日本やアジアの国々とのちがいは何か。カリキュラム、教科書、通知表、授業内容、進学状況、教師の待遇、教育行政の実際など具体例を豊富なデータとともに検証。日本の「学び」の弱点を分析し、世界で求められている「学力」とは何かを問い直し、日本がめざすべき「未来の学力」を提言する。
目次
１ テストが変わる、学力が変わる
２ 学校教育の背景にある文化資本の影響力
３ 豊かな文化資本を家庭と学校に
４ 学び続ける力を育てる
５ 知識を構成する力―新しい教育学
６ 未来の学力に向けて
著者等紹介
福田誠治［フクダセイジ］
１９５０年岐阜県生まれ、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。現在、都留文科大学文学部比較文化学科教授、理事兼副学長（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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sora
22
読みながらなるほど、「比べ、競争する」では伸び悩むということが分かりやすく書いてありました。納得と思ったのに、表題が「こうすれば、日本も学力世界一」の世界一って順位をつける言葉でしょう？なんだか比べて優位に立とうというようで・・・・違和感がありました。表題を気にしなければ、読み物としては興味深かったです。2014/04/02
りょうみや
21
著者のフィンランド教育本6冊目でおそらくこれで全読。なぜこれまで何冊も読んだかと言うと副題にあるように「フィンランドから本物の教育を考える」ことができるから。フィンランドだって完璧ではなく、日本の方が優れている面もある。しかしフィンランドの教育を知るということは、理想的な教育だけでなく、それを可能にする理想的な社会、そして人間の在り方をも教えてくれるように思える。つまり教育者でなくとも著者のフィンランド本を読んで日常生活にいかせるものが大いに得られると思う。2019/03/20
kubottar
15
確かにペーパーテストで高得点を取るためだけの詰め込み教育では、グローバルな社会には適応はできないと思う。第一次産業（農業）から第二次（工業）にシフトする際には役だったけど、今は全然合ってないですよね。しかし、旧態依然とした日本では40人学級を35人してやっぱ40人に戻したりと、全然変わり様がないのも問題だ。一気に20人学級にでもしたらいいのになあ。2015/01/21
放蕩長男
8
詰め込み式の暗記中心の教育から、創造的な人材育成へ切り替えることを狙った、所謂ゆとり教育。批判も多いですが、その方向性自体は正しかったのです。では、何が間違っていたのでしょうか。この本では、日本の教育の目指すべき場所と、そのお手本となるフィンランドの教育現場について書かれています。単純な点数評価だと、「取り繕う技術」ばかりが発展してしまう、というのは真を突いています。私が学生時代のバイトで受験を控えた子供たちに教えていたのは、まさに「取り繕う技術」でした。省みるべき点が多く見つかりました。2016/08/07
tsuki
3
日本とフィンランドの教育や学習に関する考え方が大きく違っていた。日本の教育も悪くないとは思っていたが、この本を読んで考えが変わった。日本の教育の仕方だと知識詰め込み教育のまま変わらないだろうなぁと思った。しかし、フィンランドでは、教師一人一人に任されている部分が大きい。一応教科書はあるが使わなくてもよい。ものすごく大きな枠でしか定められていない。これでは、教えてもらう教師によって差が出てきてしまうのでは？と思ってしまう。しかし、そんなことはないようだ。不思議。2016/11/18
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