内容説明
京都御所の北隣に邸を構える冷泉家は、三代続きで勅撰和歌集撰者となった藤原俊成・定家・為家の流れをくむ「歌の家」。同家の文庫蔵は、平安後期以来の写本群をこんにちまで守ってきた。通行の古典テキストは多くの部分を冷泉家伝来歌書に依拠している。もしこの蔵書群が伝わらなければ、この国が世界に誇る古典文学の様相はずいぶん異なっていただろう。冷泉家御文庫が初めて公開されてから30年、調査によって蔵書群の全貌が明らかになりつつある。俊成・定家が遺した写本はむろん、対立していた家からのものを含め、鎌倉から室町時代にかけての主要な歌書のほとんどが冷泉家に流入していた。奇跡的な偶然のたまものでもある冷泉家蔵書を分類し、その足取りをたどることは、中世の歌壇像を描き直し、文化史を叙述し直すことにほかならない。
目次
序章 「冷泉家の蔵開く」―驚きの日々
第1章 邸宅の変遷と御文庫の成立
第2章 為家の遺言と冷泉家の成立
第3章 対立する家から入った本(一)―二条家本
第4章 対立する家から入った本(二)―三井寺本・真観本
第5章 寄贈された本―西南院本
第6章 歌書の流布
第7章 おわりに
著者等紹介
藤本孝一[フジモトコウイチ]
1945年、東京生まれ。法政大学大学院人文科学研究科日本史専攻博士課程修了。博士(文学)。明星中学高等学校教諭、平安博物館助教授、京都文化博物館主任学芸員、文化庁主任文化財調査官を経て、龍谷大学客員教授、冷泉家時雨亭文庫調査主任、真言宗善通寺派大本山随心院文化顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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