内容説明
『源氏物語』を生んだ一条朝は、紫式部、清少納言、安倍晴明など、おなじみのスターが活躍した時代。藤原道長が権勢をふるった時代とも記憶されているが、一条天皇は傀儡の帝だったわけではなく、「叡哲欽明」と評された賢王であった。皇位継承をめぐる政界の権謀術数やクーデター未遂事件、当時としてはめずらしい「純愛」ともいうべき愛情関係。ドラマチックな一条天皇の時代を、放埓だった前代・花山天皇の、謀略による衝撃的な退位から書き起こし、現存する歴史資料と文学作品、最新の研究成果にもとづいて、実証的かつ立体的な「ものがたり」に紡ぎあげる。『源氏物語』が一条朝に生まれたのは、決して偶然ではない。
目次
序章 一条朝の幕開け
第1章 清涼殿の春
第2章 政変と悲劇
第3章 家族再建
第4章 男子誕生
第5章 草葉の露
第6章 敦成誕生
第7章 源氏物語
終章 一条の死
著者等紹介
山本淳子[ヤマモトジュンコ]
1960年、金沢市生まれ。京都大学文学部卒業。石川県立図書館加能史料編纂室室員・石川県立金沢辰巳丘高校教諭を経て、1999年、京都大学大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。京都学園大学経済学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
78
再読。やはり何度読んでも心震える本です。千年前の一条朝に生きた人々の思いが胸に迫ってくるようです。2021/11/14
しゅてふぁん
49
再読。定子崩御の知らせを受けて『皇后の宮、すでに頓逝すと。甚だ悲し』と叫びに近い一言を絞り出した一条帝。涙無しには読めません。道長が出世できた最大の要因の一つは疫病で上位の公卿が立て続けに亡くなったからなんだけど、、、今までは昔は大変だったよねとまるっきり人ごとだった。でも今はまさにその渦中にいるんだよね。’今も昔も変わらない‘、まさか疫病にまでこの言葉を使うことになろうとは。2020/04/12
初美マリン
45
一条天皇の后である、定子と彰子この二人はドラマよりドラマチック、清少納言紫式部と艶やかでありながらやはり政治に振り回され自分急激に環境が変わる。とても后たちの立場から描かれて、興味深く読みました読みました2018/07/08
14番目の月
45
とてもわかりやすく面白かった。まず冒頭に主な登場人物系図が載っているのがとても親切である。わからなくなるとここに戻って確認すること数回。 一条天皇と定子、彰子、道長とその兄弟達、清少納言、紫式部、行成、伊周などの人間性やそれぞれの関係性が時代背景とともに書かれている。 一条天皇の上に立つ者としての毅然とした振る舞いが素晴らしく、今の世の偉い人たちに見習ってもらいたいと思った。 2017/06/18
やいっち
41
恥ずかしながら、本書を読んで初めて、清少納言の『枕草子』の意義やすばらしさを教えられた気がする。 これまでは、古典だからとにかく読んでおこうという程度。尖がった才能や美的センス、などなどは感じても、それほどまで感心できなかった。 清少納言の男気や、どん底に追い詰められた、そんな逆境で書き始めたってことに尊敬の念さえ(今更だけど)覚えてしまった。2018/07/08