内容説明
いま世界各地に広がり続ける深刻な内戦の戦場と難民たちの運命に想いをはせるとき、日本の戦国時代もまた、「内戦の時代」であったという厳しい史実を忘れてはなるまい。各地に残る史料と実地調査によってダイナミックに描いた、飢餓と戦争に苦悶する戦国の町と村の実像と、そんな世をしたたかに生きる人々の姿―。さらに内戦の時代に領主から村や町までが地元の山の上に築いた無数の山城はどうなったのか。「山城停止伝承」を発掘することによって、「戦争から平和へ」という大きな歴史の転換の過程を明らかにする。『雑兵たちの戦場』で思いがけない戦国像を展開した著者の『戦国の村を行く』『飢餓と戦争の戦国を行く』に続く「戦国を行く」シリーズ第3弾。
目次
1 土一揆と戦争(土一揆と村の暴力;一向一揆と飢饉・戦争;戦国の村の退転―戦禍と災害の村;戦場の村の記憶)
2 戦場の村と城(戦国九州の村と城;内戦のなかの村と町と城;戦国比企の城と村―シンポジウムに寄せて;山城停止令の発見)
著者等紹介
藤木久志[フジキヒサシ]
1933年、新潟県生まれ。新潟大学卒業・東北大学大学院修了。立教大学名誉教授。文学博士。日本中世史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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m.murasaki
1
本願寺の兵の鎧が立派だからといって隙あらば剥いでやろうと虎視眈々と狙う庶民とかある意味強いですね。たとえ恩義ある領主であろうと敗れれば容赦なしとか。本願寺の幹部が飢饉に強いといわれる職業の人々ばかりと言うのもなかなか興味深いですね。農民たちの避難所にもなった山城、そしてその禁止令の伝承、九州など西日本は秀吉が関東などは家康が山城を禁止して下りたという話ですけど、確かに一国一城令ですべて一挙になくなったというよりは、段階を経て城破されたほうが納得できるかもしれません。2011/05/21
Ryuji Saito
0
2016年51冊目2016/03/23
momen
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戦国の土一揆、城の構造やシステム、戦や飢饉の時の民衆や大名の動向、法律や社会制度など、様々な内容の論考を一冊にまとめたもの。一冊通して一つのテーマを掘り下げている訳では無いので扱う内容は広く浅い感じだが、章テーマごとに事例や資料が丁寧に説明されており具体的な様相がピンポイントで分かる。城とその近郊の町の構造、立地、法などが特に興味深かった。「清良記」等の軍記物にも多く触れられており、真偽はともかく戦がどのように捉えられていたか・大名や民衆は戦や平時にどうあるべきと考えられていたかなどが透けて見え面白い。2025/06/03
たつみ
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うっかり間違って戦国時代に異世界転生したら、最初に村人Aに遭遇した段階で、身ぐるみ剥がれて殺されるか、奴隷にされるか、奴隷として売っ飛ばされるかで、間違いなく無双するどころではない2020/02/16