内容説明
ナチスの政権掌握から60年。民主主義の模範といわれたワイマール共和国で、なぜファシズムが選挙で勝てたのか…。練達のジャーナリストによる検証は、今日に通じる多くの教訓を投げかける。
目次
序章 ヒトラーが首相になった日
第1章 民主主義が自殺するとき
第2章 ナチスの登場
第3章 最後のチャンス
第4章 1933年1月30日
第5章 権力掌握
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
この本は、書名のようにヒトラーがいかに権力を奪取したか、では無く、そのヒトラーを警戒していたはずのワイマール共和国の政治家達が何故その台頭を許してしまったのか、に主眼がおかれている。とにかく民主主義のダメなところが濃縮したような状態が続き、これならヒトラーの方がマシだと思ってしまうような国民感情が醸成されるのもむべなるかな。当時世界一民主的だといわれたワイマール憲法も、増大する失業や不景気といった現実の前には何のありがたみも無かったということ。多分、これと同じようなことはこれからも繰り返されるだろう。2009/11/14
かめちゃん
1
当事者世代でもある現代史専門のドイツ人ジャーナリストが一般向けに書いた本。訳者が丁寧な注を付してくれているとはいえ、情報量の多さには疲弊させられた。ワイマール共和国後半期の政治史(特に政治家たちの熾烈なかけ引き)を現場目線で仔細に叙述している。シュトラッサーが党内でもヒトラーと一線を画した有力者であり、独裁構想自体に懐疑的だったという話は興味深い(有名な雇用創出政策の提言者でもあった)。共和国擁護派の迷走ぶりにもまして、彼らナチ党内反主流派が他の政治勢力との連立に成功していれば、と悔やまれる。2019/01/02
koichi uchida
0
独裁者ヒトラーの経緯、当時の雰囲気が伝わってくる ボリュームのある本なので、後半読み切れず、また時間作って残りをよみたい 1933年3月5日、選挙 投票率99.0%・・ナチ党170万(43.9%) そのような選挙のもとの政治。。。 不況、不満の蓄積からの発散の力の凄さ 環境を整えること、しっかり考えて活動をしてゆきたいと気づかされる 無関心がよくなさそう2017/03/05
シュミットさん
0
もうあまりこの本に関わっておられなくなってしまったので、残り1/3で中断。ワイマールの混沌からナチズムが台頭してゆく「民主主義の自殺」過程は、現代のわれわれにも大きな教訓を与えている。次は林健太郎『ワイマル共和国』(中公新書)を読み進めたい。2008/12/15
ナン
0
あとがきにもあるが、ワイマール共和国崩壊期、ヒトラー政権獲得前夜とその直後に的を絞り込んだ一般向けの本は少ない中で、ヒトラー政権誕生までのいきさつが詳細に書かれていて、勉強になった。ヒトラーやナチスの動きというより、他の政党、政治家等の無能さや駆け引き等が中心に描写されている。なお、登場人物が多かったり、当時の出来事が詳しく書かれているので、読み進めるには、ある程度、前提の知識があった方がよいと思われる。