内容説明
小説を楽しむには、どうしたらいいのだろう?カフカ、鴎外から春樹に詠美まで、作品のエッセンスを巧みにとりだして、心ゆくまで楽しみながら本を読むためのヒントを教えます。『大人のための残酷童話』の著者が、世のすべての小説好きに贈る、最初にして最後の小説読本。
目次
小説論ノート(もののあわれ;勧善懲悪;愚行;恋 ほか)
小説を楽しむための小説読本(小説の現在―「第二芸術」としての純文学の終わり;小説を楽しむこと;長い小説;一品料理としての短編小説 ほか)
著者等紹介
倉橋由美子[クラハシユミコ]
1935年、高知県生まれ。明治大学仏文科に在学中の’60年、明大新聞に発表した小説『パルタイ』が脚光を浴び、選者の平野謙に文芸時評で推奨され、同年の芥川賞最終候補になる。また同作品で’61年の女流文学賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あ げ こ
10
とんでもない小説毒本。その毒が私の読書の幅を狭め、読めない本、読みたくない本の量を増やし、読める本、読みたい本、決して多くはない彼等への傾倒をより一層根深いものにする。小説を楽しく読むにはまず読んで楽しくないものを避けることが第一とし、読んでも仕方がない小説、読むのを避けるべき様々な小説を挙げ、それらを粛然と切り離して行くやり方。如何に失敗しているか。如何につまらないか。あたりまえを語るのに相応しい鷹揚さと平静さを以て、遥か遠く、異世界の人間を見遣るような無関心さと冷淡さを以て示した上で。次々切り捨てる。2017/07/16
misui
4
芸としての小説について。ただ平易なだけで幼稚な文章や、細かすぎて冗長な文章が名文なのではない。十分な思考の跡がある、あるいはそれが自然になされている文章が名文である。2011/11/04
ひろ@ネコとお茶愛
1
前半が、辛辣すぎて、断念……テイストがかなりマイルドになっている二章は面白く読めました。きれいな文章でした。2017/03/16
常山切子
1
あたりまえのこと。それに気づくのが何よりも難しい。2012/08/16
DEN2RO
0
小説は根も葉もあるつくりごとを上手に聞かせてくれるところに面白さがあり、花も実もあるウソ話こそが、楽しいばかりではないこの世界を生きていくなかで、よき友人となりえることが感じられました。小説は商品と繰り返し述べつつ実はそれだけではないという反語が聞こえてきました。 2012/04/07